最長老監督・木村威夫さんと宮沢りえの“ほのぼの”秘話

2010.03.30


宮沢りえ【拡大】

 世界最高齢となる90歳で長編映画監督デビューしてギネス世界記録に認定、美術監督として長らく日本映画に貢献した木村威夫さん(享年91)。21日に都内の病院で間質性肺炎のため亡くなったが、その死を惜しむ映画関係者は数多い。

 女優、宮沢りえ(36)が数々の女優賞を獲得した「父と暮せば」(黒木和雄監督)の撮影でのこと。木村さんの古巣、日活撮影所で、ある日、スタジオ入りした宮沢は木村さんの姿を見つけると走り寄り、「私ね、休日にスッポンを食べに行ったの」と語り出した。宮沢の話を目を細めて聞く木村さんは、まるで仲のよい祖父と孫娘のようだった。宮沢は木村さんが90歳で「夢のまにまに」で長編監督デビューを果たしたとき、ヒロインとして花を添えている。

 「人のセックスを笑うな」(井口奈己監督)のヒット記念の宴席では、主演の永作博美(39)に熱く俳優論を説いた。「オペレッタ狸御殿」では、アジアNo.1女優、チャン・ツィイー(31)と東宝撮影所の食堂でラーメンをすすりあった仲でもあった。

 私生活では3年前に50代の三女に先立たれたが、親しいスタッフにも伏せ、公私のケジメには厳しい人だった。

 夕刊フジ「元気のヒミツ」(1月22日)の取材は日活で行った。

 「もし僕がフランスに生まれていたら、ジャン・コクトー(詩人)と友達になっていたのに」と言っていた話が忘れられない。日活芸術学院の院長として後進の指導に当たり、学生の進路にも気を配った。1月27月に入院してからも病室で次回作の構想を練っていた。

 酒好きで甘辛両党の木村さん。日活撮影所の食堂では大好物のかつカレーをほおばった。

 遺作となった「黄金花〜秘すれば花、死すれば蝶〜」(昨年11月公開)を上映した銀座シネパトスの前に開店したばかりの菓子店「播磨屋」を目ざとく見つけた。舞台あいさつの合間に無料のおかきをおいしそうに食べた。戒名は造象院原相映威居士。その青年のような笑顔が忘れられない。(小張アキコ)

 

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