都内の仕事場のマンションで首をつり、27日に死亡した人気脚本家、作家の野沢尚さん(享年44)をめぐる衝撃が続いている。死の真相は依然、謎のままだが、脚本家として野沢さんが信奉していたという倉本聰氏(69)=写真=が「僕は多分、多少は彼の気持ちがわかるように思う」と話す。
倉本氏は昨年12月放送のNHK50周年記念ドラマ「川、いつか海へ」で野沢さん、三谷幸喜氏と3人のリレー式で脚本を手がけた。
その過程では、「作品上のことでモメもしたけど、彼が(倉本氏の拠点の北海道)富良野にも来て、一晩飲んだこともある」。実は、野沢さんは早くから倉本氏を意識し、「彼が学生だったころ、僕のシナリオ『北の国から』の出版サイン会に来ていたみたいで、後に僕のサイン入りの本を見せられてびっくりした」と倉本氏もいう。
そんな野沢さんの死に対し、倉本氏は「順風満帆で来て脂ものった年齢、仕事も多い。それがなぜ? と思われるかもしれないが、だからこそ責任感があると、フッと『本当にこんなにできているのだろうか』と“不安の穴”に落ちることがあるんです」という。
ひきがねになるのは「タイムリミット(締め切り)という壁に押しつけられたなかで、テレビマンらによる、悪意ではないがグサッと傷つく言葉や批評家やインターネット上の匿名の誹謗中傷だったり」。また、「穴の深さは人によって違うが、僕自身、死にたいと思ったり、ノイローゼになったこともある。精神安定剤、抗うつ剤も常備しています」とも。
そして、こうした脚本家が抱える問題に、「報酬を含めて決して恵まれた状況ではなく、とくに若手は仕事をいっぱい抱え、野沢さんもそれが習慣化していたのかもしれない。本当にお疲れ様としかいえないが…」と語った。
ZAKZAK 2004/06/30