 平積みされた「ハリーポッター」の5作目。大量の在庫に書店側も頭を抱える=都内の書店で |
神話崩壊−。4巻までの国内発行部数が累計1669万部にも及ぶ大人気ファンタジー小説「ハリー・ポッター」シリーズ。だが290万セットと過去最多の初版部数で9月1日に発売された第5作「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団(上・下)」の売れ行きが怪しい。ヒットを見込んで大量に仕入れたものの売れ残り、古本市場に新品を横流しする書店も出始めるなど、「ハリポタ」はシリーズ史上最大の“ピンチ”を迎えている。
「4巻はよく売れて追加注文したが、5巻は発売初日それなりに売れただけで、2日目以降はさっぱり。在庫は系列の他店に回そうと思ったが、どこも足りてる」
こう話すのは東京・丸の内の書店の男性店員。同シリーズは4巻から上下巻のセット売りになったが、「会社帰りに買うには重過ぎる」と電車通勤の会社員には不評だという。
日本屈指の書店街、東京・神保町の書店の女性店員は「児童書なのに上下セットで4200円。子供の買える値段じゃない。4巻まで読んだけど、今回は買っていないという若い人も多い」と話す。
個人的にも“ポッタリアン”(同シリーズのファン)だという別の女性店員はこう分析する。
「シリーズものは、ある程度飽きられるのは仕方ない。ただ、今回は登場人物も多いし、思春期のハリーがずっと周囲に対して疑心暗鬼で読者も救われない。子供が読むには難しいかも」
神保町の大型書店では「ハリポタ」が店内の片隅に30セット以上も積み上げられていた。「発売から2−3日は売れたが、それからは1日1冊くらい。問屋も『どこの店も余ってる』と言っていた。上下巻を時期をずらしてバラ売りしたらもう少し売れると思うのだが、作者と出版社の取り決めだから…」(男性店員)。
神保町界隈の古書店の店先には、上下セットでパッケージされたままの“新古本”が、2500−3000円の安値で公然と並んでいる。
書店で売れ残った本は通常、出版社に返品される契約が多いが、同シリーズは4巻から仕入れの際に書店が現金で買い取る“返品お断り方式”に変更された。
「仕入れで見込みを誤り、大量の在庫を抱えた書店は困っている。倉庫のスペースを無駄遣いしたくないし、他の仕入れに使う現金も欲しいから、二束三文で古本市場に新品を売りに出しているところもある」(神保町の古書店主の男性)
定価で売る書店の向かいに店を構え、2800円で“新古本”を売っていた古書店の女性店員は「あるルートから30冊仕入れたが、もう売り切れた」と話す。
同じルートから仕入れた別の古書店では、2520円で現在も販売中。男性店員は「(“新古本”は)9月半ばごろ出回った。どこかの本屋が困って出したんじゃないか」という。「古本市場に出た時点で新品じゃないから、他店からクレームは来ない」(同)。だが定価で売る近隣の書店の店員は「こんな近くで、ふざけるなという感じ」と怒りをあらわにする。
早くも大量の“新古本”が出回っていることについて出版元の静山社は、「状況を確認していないのでコメントできない」と話すのだが…。
ZAKZAK 2004/10/16