 失跡当時の斎藤裕さん(左下)と松本京子さん(左上)。TBSが入手した脱北者の写真(右側)と比べると、口元などに共通点も見られる |
TBS、勇み足−。昭和43年に北海道で失跡した斎藤裕さん=当時(18)=と、52年に鳥取県で不明となった松本京子さん=同(29)=とみられる写真を脱北者が提供した問題で、写真の男女はいずれも韓国在住の脱北者で、拉致の疑いのある特定失踪者ではなかったことが20日までに分かった。写真を入手したTBSと、特定失踪者問題調査会は、勇み足だったことを認めた。
TBSは今月16日、写真の男女が斎藤さんと松本さんである可能性が高いとの番組を放送。その後報道を見たソウル在住の男性から、「拉致と無関係ではないか」との情報があり、TBSがこの男女に接触した。
その結果、男女は「北朝鮮国民で、日本人拉致被害者ではない」と証言。写真を提供した脱北者も「金がほしかった」と話したという。
TBS側は写真提供の謝礼を支払っており、「多くの関係者に迷惑をかけたことをおわびする」と謝罪した。調査会も「判断に勇み足があった」と頭を下げた。
写真のうち女性は脱北者の「義理の姉」だったというが、一部特徴が似ており、鑑定した東京歯科大の橋本正次助教授も当初、「松本さんの可能性が高い」とした。
一方で、特定失踪者に関する情報は極めて少なく、「針の穴のような情報でも、のどから手が出るほどほしい」(松本さんの兄、孟さん)のも事実。調査会の荒木和博代表は謝罪の一方で、「リスクを恐れていては情報が集まらない」と理解を求めた。
TBSは埼玉県川口市で失跡した藤田進さん=同(19)=と、千葉県で失跡した加瀬テル子さん=同(17)=の写真も同じ脱北者から入手しているが、この2人についても「しばらく取材を進めたい」としている。
ZAKZAK 2005/01/20