 番組でムードたっぷりのボーカルを響かせた、鶴岡雅義と東京ロマンチカの三條正人 |
昭和30−40年代の歌謡シーンを彩ったムード歌謡が今、息を吹き返そうとしている。高度経済成長期のオトナの心を潤した歌への郷愁なのか−。
先月24日、テレビ東京系「月曜エンタぁテイメント」が10%を超える高視聴率を記録。前4週平均が7%台だった同番組としては快挙。この回のテーマが「魅惑のムード歌謡セレクション」。石原裕次郎、沢たまきやマヒナスターズなど、当時のお父さんたちが涙を流す懐かしい曲のオンパレードだった。
「美しいメロディーといい意味でのバタ臭さが混在し、昭和を物語る“暗さと明るさ”が見事に調和している。当時を知る世代にはたまらないはず」と同番組の只野研治プロデューサーは、ムード歌謡を取り上げた理由を説明する。
今や、テレビの歌番組からはほとんど消えてしまったムード歌謡。この分野を得意とするテレ東にとって「ムード歌謡だけで2時間」は初の冒険だった。
しかし、その心配は消え、企画は見事にお父さんたちのツボにはまって数字を残した。3月にも「昭和の歌」をテーマにオールリクエストを計画中という。
なかなかテレビには登場しないムード歌謡だが、現在の活躍の場はディナーショーが中心。京王プラザホテル広報の櫨山博文さんは「比較的高い年齢の客層がターゲットでショーの売れ行きもよい。昭和のメロディーを懐かしむお客さまのニーズは高い」と話す。
「ラブユー東京」などのヒット曲で知られるロス・プリモスのリードボーカル、森聖二(65)=顔写真=は「ステージで歌っていると中高年のお客さんの、本当に懐かしそうな、それでいてうれしそうな表情が見える。それが僕たちの励みになるんです」。
また、意外にも若い世代にもムード歌謡のウケがよい。インターネットの巨大掲示板「2ちゃんねる」でも、同番組を見て初めて知った“なつメロ”に「いい曲だ」「ハマッた」などの書き込みが目立ったほどだ。
ロス・プリモスの森は「ハーモニーがバッチリ決まると、歌っていて気持ちよく、聴いていても心地いい。ムード歌謡には、今の音楽にはないよさがあるんです」と強調する。
リアルタイムでそのよさを知る中高年と、新鮮に感じる若年層の支持を得て、今新たなブームの気配を感じる。
【ムード歌謡】昭和30−40年代に日本の音楽界を席巻したジャンルの一つ。石原裕次郎やバーブ佐竹のように一人で歌うケースもあるが、主流はバックコーラスを従えたグループ。30年代半ばから40年代初めにかけ、ラテン音楽出身のロス・プリモスやロス・インディオス、ハワイアン出身のマヒナスターズなど、音楽的バックボーンがしっかりしたグループが続出。しゃれた曲調、甘い歌詞、美しいハーモニーで人気に。演歌より洗練され、グループサウンズのように激しいビートを使わないのが受け入れられた。
ZAKZAK 2005/02/04