「たのきんトリオ」のライバルとして、アイドル路線でデビュー。しかし、アイドル時代はわずか4年で卒業し、役者の道へ。今では時代劇の舞台に欠かせない名脇役となった。
「自分が舞台俳優になるなんて思ってもいませんでしたよ」。アイドルの世界から飛び込んだ芝居の世界は想像以上に厳しく、途方に暮れていたところを里見浩太朗に見いだされ、役者のイロハをたたき込まれ、芽が出た。
「里見さんは僕にとって師匠でありおやじのような存在。でもそんなことを本人に言うとしかられますけどね(笑)」
今では1年の3分の1を明治座や新宿コマなどの大舞台で過ごす。最近は松井誠に師事して大衆演劇にも挑戦。持ち前の運動神経のよさを駆使しての“立ち回り”が高く評価される。
「テレビと違ってお客さんの表情がはっきり見える。緊張の連続ですが、勉強になります」
八代亜紀の専属ヘアメイクをしている夫人と3年前に結婚。「実はバツイチ同士なんですよ」と笑うが、妻の仕事が休みの日は、マネジャーとして2人そろって仕事場に出かける。近々夫婦で店を持つ計画もある。
「“美容院とカフェバーの融合”のような店です。彼女が美容院を、僕がカフェバーを受け持つ。髪形を整えた直後のおしゃれな雰囲気のままくつろげる空間を演出したい。たまには僕がピアノの弾き語りをしたり。周りの同年代を見ると、僕もそろそろオーナーになってもいい年なんじゃないかなと…」
アイドル時代から応援してくれるファンとの交流は今も続く。役者としての仕事の合間を見て開くディナーショーには、かつて追っかけをしていたのと同じ年代の娘を持つ女性ファンもやってくる。彼女たちが一番喜ぶのが、アイドル時代の裏話。
「昔は『アイドルなんていつまでもやる仕事じゃない』なんて考えていたんですが、最近は、アイドルだったからこそ、そうした裏話も話せるわけで、人にはできない貴重な経験をした、と思えるようになってきました」
不惑を過ぎ、役者としての風格がついてきた。夏には師と慕う里見の芸能生活50周年記念公演(7月3日から東京・明治座)が待つ。自身の芸能生活はその半分の25年。新撰組の「沖田総司」という大役で、役者としての現在の力量が試される。
■にった・じゅんいち 1963年東京生まれ。81年NHK「レッツゴーヤング」で“サンデーズ”メンバーとしてデビュー。アイドルとして人気を博すが、21歳で俳優に転向。以降里見浩太朗、八代亜紀、小林幸子、中村美津子、松井誠らの座長公演に出演。
ZAKZAK 2005/06/04