 漫画家の故石ノ森章太郎さんが高校時代に学校新聞に寄せた修学旅行の1コマ漫画 |
「仮面ライダー」「サイボーグ009」などの作品で知られる漫画家の故石ノ森章太郎さんの母校、宮城県佐沼高校(同県登米市)で、石ノ森さんが在校中に描いた1コマ漫画を掲載した学校新聞が、約50年間保管されていたことが5日、分かった。
進学や就職を控えた生徒らに向けた漫画で、高校在学中にプロデビューした石ノ森さんが学校新聞という身近なメディアでも、その才能を発揮していたことが分かる。
佐沼高校によると、保管されていたのは、同校が季刊で発行していた「佐高新聞」の1954−55年分に掲載された4作品。当時、石ノ森さんは同校2−3年で新聞部に所属。各漫画には本名の小野寺章太郎を示す「S・ONOTERA」の署名が入っている。
受験に関する記事に寄せ、「レ・ミゼラブル…!」と題して参考書が詰まった袋を背負って勉強する男子生徒の姿、修学旅行の記事には京都の舞妓(まいこ)に必死でサインを求める女子生徒など、等身大の高校生活をユーモアと皮肉を交え描いている。
2000−01年ごろ、同校の創立100周年事業で学校新聞の縮刷版を制作する際、図書室に保管されていた新聞の中から見つかったという。
同校の高橋武比古教諭(57)は「佐沼高の新聞部員だった40年前に実物を見たことがあるが、現在まで残っていたとは驚きだ。石ノ森さんが卒業生ということを今の生徒はほとんど知らない。これを機に皆に伝えていきたい」と話している。
■現代マンガ図書館の内記稔夫館長の話 画風はやや大人向けだが、一目で石ノ森さんのデビュー時の作品と分かる。女子生徒のカメラに「カリモノ(借り物)」と小さく記したり、参考書を大量に買い込んだ男子生徒をカラスの鳴き声で「KAW AHO(買うあほう)」と皮肉るなど、一コマに過不足なく絵と文を配して軽くくすぐる笑いが既に完成している。高校生とは思えないすごいレベルだ。デビュー前後の多忙な時期と重なるが、筆の速さで有名だった石ノ森さんには苦にならなかっただろう。
【石ノ森章太郎】1938年、宮城県生まれ。中学時代から文通で手塚治虫氏に師事し、高校在学中に「二級天使」でデビュー。「サイボーグ009」で独自の作風を確立した。「仮面ライダー」など特撮ヒーロー番組の原作を多く手掛け、「佐武と市捕物控」などの時代ものから「マンガ日本経済入門」といったハウツーものまで幅広いテーマの作品を量産した。86年に「石森」から「石ノ森」に改名。98年に60歳で死去した。
ZAKZAK 2006/01/05