太ってきたのは、NHKの大河ドラマ「樅ノ木は残った」(1970年)に出演した頃からですね。存在感のある色濃い役柄に合うようにと意識して太ってやろうと…。一番多い時で、110キロまでいきました。若い時、萬屋錦之助さんの「子連れ狼」の毒味役では評判をとりました。いろいろやってみましたね。
戯曲読んでこの役やりたいと思っていても、気がつくともうできない年になっていたり。役者というのは、変化に順応していくことが仕事なんだと思います。来月、仕事あるかなと待っていると、きのう二枚目だったのが次は悪役が来る。明治物に出演していた後はミュージカルになる。その変化をちゃんとこなしていけるか、ボクはその変化を楽しんできたということですね、荒海を漂うように。
今、77歳ですが、年長の森(光子)さん、元気ですね、ボクも頑張らなければ。80、90の現役を目指してね。もちろん、セリフ覚える記憶力は落ちてきましたし、体もあちこち、悪いところは出てきますよ、それは。でも、お酒も昔はよく飲みましたけど、今はあまり飲まなくなりました。休みができると、近所のプールに行って何往復も歩いてみたりしています。恋心? 若い女優さん見てもねぇ、やっぱり、外で遊ぶ機会減ったし、子供たちもみな出て行って家内と2人だけだし、こんな長い間、苦労かけてきましたから。今更ね。
俳人の金子兜太さんの本に、朝起きて、死んだ戦友の名を全員声出して呼ぶとパワーが貰えると書いてありました。ボクも学生時代の友人や新劇青年時代の友人がもう何十人も亡くなってますから、昔の出席簿順に記憶を辿って名前呼んでみたら、過ごしたその時代が浮かんできて、そうだ、またやらなければと勇気がわいてくるんです。
=おわり
ZAKZAK 2006/01/14