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「黒澤塾」閉鎖のウラ…ネームバリュー利用して
並行して進められていたプロジェクトも頓挫

先月の記者会見では塾の理想を語った野上氏(中)、仲代(左)と長男の久雄氏。秋田でもプロジェクトが進行していたとは…
先月の記者会見では塾の理想を語った野上氏(中)、仲代(左)と長男の久雄氏。秋田でもプロジェクトが進行していたとは…
 巨匠・黒澤明(1910−98)のワザを今の若者に伝え、世界で通用する映画人育成を目指し、4月に開設された映画学校「黒澤明塾」が今月15日付で早くも閉鎖となった。すでに塾生募集も開始していただけに、突然の閉鎖に関係者らは今も驚きを隠さない。

 同塾事務局によると、塾スタッフが関連会社からクレームを受けて解任され、その責任をとり、塾長の野上照代氏、学長で俳優の仲代達矢が辞任。塾の運営自体が立ちゆかなくなったという。

 同塾は、黒澤プロダクション社長・黒澤久雄氏、日本ビレッジ協議会が中心となった構想5年のビッグプロジェクトだったはずだが…。

 実は、塾と並行して進められていたもう一つのプロジェクトも同様に頓挫している。

 「黒澤シネマビレッジ」構想と名付けられ、秋田市に黒澤映画の舞台を再現しようというもの。黒澤の遺品を展示する「黒澤館」、撮影に使ったオープンセットのほか、自然農園や温泉施設なども備えるという一大施設になるはずだった。

 同市観光課では、「2年ほど前にそういう話があって、秋田市内の上北手が候補地にあがっていました。当初は、現地法人を作って、設計−建設を進める予定と聞いていましたが、それっきりのようです」と話す。

 まさに、「世界のクロサワ」の名を汚す行為と映るが、そのネームバリューを利用したビジネスは今に始まったことではない。

 都内には、黒澤プロ協力で、黒澤映画の雰囲気の中で監督が好んだ料理を味わえる「永田町黒澤」や「築地鉄板焼Kurosawa」など、黒澤の名を頂くレストランがあり、それなりに繁盛しているという。

 また、角川春樹事務所が、現代版黒澤映画製作に意欲を見せており、昨年、黒澤プロから「用心棒」「椿三十郎」のリメイク権を3億円で買い取ったというニュースも流れた。

 さらに、件の秋田では、映画評論家の水野晴郎氏が経営に失敗して閉鎖された秋田駅前のシネマコンプレックスを、黒澤作品の専門館にしようという話もあるという。

 「久雄氏にも、プロダクション運営の台所事情があるだろうが、これでは父・黒澤明の遺産を食い潰しているようなもの…」(ベテラン映画記者)という厳しい声もある。

 映画評論家の野島孝一氏も、「今の若い世代には黒澤さえ知らない人が増えており、ビジネスとして黒澤ブランドがどこまで通用するかは疑問。いずれにせよ、あまり商売には走らないでほしいですね」と語り、「それよりも、海外で映画そのものの上映回数を増やすなど、本来の作品の魅力を伝えることに力を注ぐべき」と苦言を呈する。

 黒澤監督も草葉の陰で、「カット。やり直し」と声を張り上げているに違いない。

ZAKZAK 2006/05/25

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