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反骨心でタブーに挑戦…政治漫画家・横山泰三氏死去
新聞連載で風刺ジャンルを確立

在りし日の横山泰三氏。「いごっそう」を貫き通した(1958年撮影)
在りし日の横山泰三氏。「いごっそう」を貫き通した(1958年撮影)
 政界を鋭く風刺する政治漫画家として知られた横山泰三さんが10日、神奈川県鎌倉市の自宅で肺炎のため死去した。90歳だった。政治漫画というジャンルを確立した「孤高の漫画家」だった。

 「タブーに挑戦して、漫画界に革命を起こした。正しく“いごっそう”を受け継いだ人だった」

 同郷の後輩で親交が深かったという漫画家のやなせたかし氏(88)は、こう語る。“いごっそう”とは、高知人の気風を表現する方言で、偏屈や反骨心を表す。

 着想の奇抜さとギリギリまで省略したシンプルな線描が持ち味。1950年、雑誌に掲載された「噂の皇居前広場」が漫画では戦後初めて、わいせつ画として警視庁に摘発された。

 54年には、菊池寛賞を受賞。同年から朝日新聞で開始した政治風刺漫画「社会戯評」は1万回を超える長期連載に発展、風刺漫画というジャンルを確立する。同じ長寿の新聞連載漫画「フクちゃん」で知られた漫画家の故横山隆一氏は実兄だ。

 ただ、「朗らかな隆一氏に対し、(泰三氏は)シャイ。同業者や同郷の人間とはほとんど付き合わず、一匹狼だった」(やなせ氏)と人柄も作風も兄弟は正反対だった。

 一方で、その交友関係は漫画界に留まらず、実に広範なものだった。

 写真家の長男・泰介氏(58)は「小林秀雄さんら文壇の方がよく出入りしていて、名前を挙げるとキリがないほど。小津安二郎さんら映画人との交流も深かった」と振り返る。

 50年に毎日新聞で連載していた「プーサン」を映画化した映画監督の市川崑氏(92)は「発想と絵の破格の斬新さに引かれて、映画化を決意した」。筋も主人公もない漫画の映画化に踏み切った経緯(いきさつ)を市川氏は「(横山氏の)漫画の新しい表現で勝負しようという思いに共鳴した」と語る。

 「連載時は、いつも午前中に仕事をして、昼までには4、5枚仕上げる。だから朝は静かにしないと怒られたもんです」(泰介氏)

 家族を大事にした横山氏は、最も多い時で11人の家族と同居。「家族にとっては一番大きな存在だった」(同)

 元々、画家志望だった横山氏。晩年はアトリエにいる時間が長かったという。家族全員で見送ったという臨終は、午前11時55分。38年10カ月守り続けた締め切りを最後まで貫き旅立った。

ZAKZAK 2007/06/13

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