 年輪が刻まれたような味わい深い長野のギター |
クラシカルギタリストの長野文憲が、きょう20日発売のソロアルバム「千の風になって」(コロムビア)で還暦のメジャーデビューを果たした。柔らかく、穏やかな音色はギター愛好家のみならず、初めて聴く人の心に、すっと染み込む。
「選曲に苦労しました。曲名だけみると支離滅裂っぽく感じるかもしれませんが、一貫性を持ったアレンジをしました」と語る長野。CDには、井上陽水の「いっそセレナーデ」、エルヴィス・プレスリー「好きにならずにいられない」からクラシックの名曲「アルハンブラ宮殿の想い出」まで和洋折衷、ジャンル不問の16曲が並ぶ。
「ビートルズの『アンド・アイ・ラブ・ハー』は、僕の中にあるフォーク系ミュージシャンのブラザーズ・フォアをイメージしたもの。シンコペーションを無くし、アレンジをした」と話すが、ベテランのレコーディングスタッフからは「原曲の雰囲気を変えず、アレンジされているのがすごい」といった玄人受けする風格も漂う。
「常に温かい音の出るイメージでギターを弾く」という長野のルーツは長崎県。
「小学校高学年のとき、浦上天主堂からレンガのがれきの中に立つマリア像を見たとき、ゾッとして後ずさりをした潜在体験やアンジェラスの鐘の音。そして広島大学へ進学し、現在まで住む広島での寺の鐘の音がいつも心にあるんです」
タイトルの「千の風になって」(「パックンマックン」のパックンと、加賀美幸子アナが朗読)は、2001年9月11日の同時多発テロの1周忌で、少女が亡くした父をしのび世界中に広まった。
広島に原爆が投下された62回目の夏となる今年8月6日には、ニューヨークセントラルパークでの野外演奏を行う。
心穏やかになりたいときに聴くべき音がここにある。
ZAKZAK 2007/06/20