 批判に堂々と答えるナレ氏=13日午後、東京都千代田区の日本ミシュランタイヤ |
レストランなどの格付けで世界的に権威のある「ミシュランガイド」。その総責任者であるジャン=リュック・ナレ氏(46)が13日、夕刊フジの単独インタビューに応じた。先月、アジア初となる東京版を発売して以降、星を獲得したお店が歓喜に沸く一方で、逃した側からは批判や恨み節が相次ぐ。「欧州の基準で日本料理がわかるのか」「調査員5人で対象1800店を調べられるのか」。すべての批判、疑問に答えた40分−。
−−星が付いたお店が喜んでいるが、逃した側からは不満の声が届く
「批判が出ることはわかっている。ただ、このガイドはミシュランが判断したもので公的なものではない」
−−中村孝明、道場六三郎、陳建一、坂井宏行ら「鉄人」の有名店も軒並み落ちた
「有名であろうとなかろうと関係ない。選ばれなかったことや、星の数が少ないことを不満とするシェフが出るのは仕方がない。不満だったら、次の年に(実力を)証明してほしい」
−−料理界では、料理評論家の山本益博氏が東京版を作成する上での黒幕とウワサされているが
「そのウワサは知っている。彼はミシュランが大好きで、わたしの知り合いでもある。だが、専門家は、調査員やアドバイザーには選ばない。調査員が顔を知られていてはできない。われわれは独立した立場でいたいから、初めから専門家には声をかけない」
−−欧州人の感覚で日本料理の奥深さを判断できるのかとの声は?
「東京版の調査員はフランス人1人と欧州人2人。それと日本人2人。欧州人3人は、他の国でも経験を積んできたベテラン。2人の日本人は3カ月、ミシュランで修行し、星付きはどんなお店なのかを体験し、評価基準を学んでいる。掲載された日本料理店は、彼らがミシュランの基準で選んだお勧めできるところ。(奥深さうんぬんは)お店の料理を味わってもらえばわかる」
−−中華料理が少なくて、焼き鳥と焼き肉店は1軒もないが
「日本で初めてのガイドなので調査の中心はやはり日本料理とフランス料理になった。中華はこれから増える可能性はある。焼き鳥と焼き肉店も調査した。ただ、東京版は星付きの150軒だけを掲載したので、星が付くまでのお店はなかったということ」
−−対象は1800軒だが、5人で制覇は可能か
「調査員は週に6日間、昼と夜に食事をする。多い人は年間で600食、少なくて400食(だから可能)。ただ、強靭(きょうじん)な胃袋でないとやっていけない。それを支えるのは、よいシェフを見つけたいという情熱だ」
−−領収書で調査員ということがバレないか
「レシートにミシュランなどとは書かない。予約も『田中』『鈴木』などの名を使う。支払いは現金だからバレない」
−−調査してみて意外だったことは
「『田中』の名で2人分の予約を入れ、当日、欧州人2人が行ったら『あなたたちではないでしょ?』と門前払いされた。別の日に日本人と欧州人で行き直した。ちなみにこのお店は三つ星が付いている」
−−掲載された150軒のうち何軒行った?
「100ほど」
−−好きな食べ物は
「以前、こういう料理が好きだと言ったら、行く先々でそればかり出るようになったので言わないことにしている」
−−09年版の調査は
「このガイドを出した翌日(11月23日)から始めた。新たに日本人の女性が1人加わっている。いずれは欧州人の比率を下げて日本人だけで調査することになるはずだ」
■ジャン=リュック・ナレ
1961年3月6日、フランスのパリ生まれ。世界22カ国で出版するミシュランガイド6代目総責任者。82年5月に同国のホテル学校、エコール・オテリエール・ド・パリを卒業。以後、パリのブリストルホテルの副支配人を務めるなど、ホテル業界に20年間携わる。2004年から現職。妻と子供3人の5人家族。パリ在住。
ZAKZAK 2007/12/14