文学者、薄田泣菫(すすきだ・きゅうきん)の遺族が岡山県倉敷市に寄贈した資料に、文豪・芥川竜之介=写真右=の代表作「邪宗門」の別稿や「地獄変」の生原稿、書簡など新資料が含まれていることが専門家によって確認され、同市が20日、発表した。
「邪宗門」は人物の設定が大幅に異なるなど、下書きというより別稿といえる内容。近代文学を研究する上で貴重な資料といえる。
「邪宗門」は平安時代が舞台で、若殿と法師、姫君をめぐる未完の傑作。1918年に、大阪毎日新聞や東京日日新聞に連載された。見つかったのは200字詰め原稿用紙22枚。連載1回目から4回目の冒頭までが記されており、第3章(16枚目)以下が発表された同作と大きく異なっている。
発表作では、主人公の若殿と父親は外見と性格が正反対に設定されているが、確認された原稿では「勇往果敢の御気象」の点で生き写しで、それが「邪魔になつて」2人の仲が悪くなることがあった、としている。
この原稿は大阪毎日新聞の学芸部副部長を務めた泣菫へ送られ、新聞紙上に載る直前に差し替えられたとみられる。
同市などは「場合によっては、『邪宗門』を新しい展開に導く可能性もあった。当初の構想などに新たな材料を提供する貴重な資料」としている。
「地獄変」の原稿は200字詰め原稿用紙2枚で、作品の冒頭部。これまで所在不明だったが、保存状態が良好で、推敲(すいこう)の跡が明確に分かる。
また、芥川から泣菫へあてた書簡なども見つかった。
 新たに確認された芥川竜之介の「邪宗門」の直筆原稿=20日午後、岡山県倉敷市役所(クリックで拡大) |
 岡山県倉敷市で見つかった芥川竜之介の「地獄変」の直筆原稿=20日午後、岡山県倉敷市役所(クリックで拡大) |
ZAKZAK 2007/12/20