宮崎、押井、北野…ズバリ大胆予想!ベネチア国際映画祭
イタリア在住ジャーナリスト新津隆夫氏
27日開幕の第65回ベネチア国際映画祭のコンペティション部門に、日本から宮崎駿監督の「崖の上のポニョ」、押井守監督の「スカイ・クロラ」(ともに公開中)、そして北野武監督の最新作「アキレスと亀」(9月20日公開)の3作品が異例の同時出品を果たす。世界各国から計21作品が出品されるが、9月6日に発表されるグランプリに一番近い日本作品はどれか。イタリア在住ジャーナリストの新津隆夫氏=写真=がズバリ、大胆予想する。
3大映画祭のうちラテン文化という共通性からカンヌで評価された作品はイタリアでも受け入れられやすい。一方、ベルリンはゲルマン文化ということもあり、一線を画していて、イタリア国内に流れるニュースの量も圧倒的に異なる。
イタリアでは近年、若い世代や知識層の間で日本ブームが起きていて、寿司を食べていればオシャレに見えるという傾向さえ見られる。そんな日本を代表する文化人というと、吉本ばなな、大江健三郎、そして、北野監督の名が上がる。
北野作品は主人公のセリフが少なく、イタリア人に比べ口数が少なく端的に物事を表現する日本人そのものと映るようだ。
70年代末から日本のアニメがテレビで繰り返し放送され、現在30代のイタリア男性は「ルパン三世」、女性は「アルプスの少女ハイジ」を見て育っている。宮崎駿監督の作品がイタリアで人気があるのは、そういった土壌あってのことではないかと思われる。「ルパン」も「ハイジ」も宮崎監督が作画や演出面で深く関わっている。
かつてイタリアにおいて映画は基幹産業だった。
イタリアの代名詞と言えるファッションも映画産業とともに成長してきた歴史がある。ゆえにイタリア人の映画に対する造詣は深く、つい10年前まで日曜日ともなれば映画館の前に人々が鈴なりになった。
今ではケーブルテレビなど娯楽が多様化され、映画館も以前は人気のなかったハリウッド映画が多く上映されている。
町中で見かけるフィアット車の台数同様に、シネコンでイタリア映画を上映する数は減ってきている。スクリーンの数は増えているにも関わらず、である。
現在、イタリアで上映される映画のうちイタリア製は約2割に過ぎない。イタリアにおけるフィアットのシェアは3割を切り、6割以上の人々が輸入車に乗っているといわれているが、イタリア人のイタリア離れはこういう面でも顕著である。
筆者が、もっとも期待を寄せるのは押井監督の「スカイ・クロラ」だ。欧州きっての平和主義者であるイタリア人は戦争悲話にとても弱い。そのあたりをコルポ(一撃)してくれるのではないか。
■新津隆夫(にいつ・たかお) 1959年、東京・浅草生まれ。「DIME」「週刊プレイボーイ」などで執筆後、97年からミラノを拠点にジャーナリストとして活動。著書に「イタリア発ブランド通り」(三笠書房)「丙午女」(小学館)「平成シャカイ科見学」(日経BP社)など。
ZAKZAK 2008/08/27
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