“ウルトラの聖地”といわれる東京・世田谷区の円谷プロダクションの「旧本社」が今月、閉鎖されることになった。
昨年はウルトラセブン誕生40周年だった。円谷プロは、その前年からさまざまな大イベントを全国で開催してきた。当時の怪獣少年たちが再び、目を輝かせ、楽しかったあのころを思いだした。テレビ史に残るウルトラQ、マン、セブンは、ここから誕生した。小田急線祖師ヶ谷大蔵で下車し、ウルトラ商店街を南へ歩くと、住宅地の中にウルトラマン、ミラーマンの像が出迎えてくれる。
すでに本社機能は2005年、同区内の八幡山に移り、「旧本社」は、ほとんど役割を終えていたが、CG制作や編集作業は行われていたという。また、敷地内の別棟には、着ぐるみや小道具が保管された「怪獣倉庫」があった。非公開だが、テレビやDVD作品、雑誌などにたびたび登場。さながら“怪獣の保養所”といった趣。
 桜井浩子さん(左)と満田かずほ監督(右) |
記者が取材に訪れた際、出迎えてくれたのは、円谷プロの作品群で監督はもちろん、プロデュースを数多く手掛けた満田●(かずほ)監督と、ウルトラマンでフジアキコ隊員を演じた桜井浩子さん。
旧本社は1964年12月から円谷プロとして使用されてきたが、「聞くところによると、元は病院だったそうだよ。私が監督をしたアンバランスというテレビ映画では、そのまま病院の一室としてロケをしたり、予算面で苦しかった怪獣ブースカでも、オープンセットとして利用した」と、満田監督は当時を振り返った。
一方、桜井さんは、「私は俳優なので、せいぜい、ラッシュを見るくる程度。でも、不思議にみんなが集まってくる。そう、母艦のようなところでしたね」。そして、「もう、旧本社に来るのは、これが最後になるでしょう。まだ、息をしている感じがするけど、取り壊している所は絶対に見たくない」と言葉をつまらせていた。
跡地は売却され3月にはサラ地となる。同時期、セブン第29話「ひとりぼっちの宇宙人」のロケでも使用された学習院大の通称「ピラミッド校舎」も老朽化などに伴って取り壊される。
ウルトラの遺産が次々と姿を消していく。満田監督は、しみじみと、「記録には残らないから記憶に残す。さびしいけど、新しい思い出がスタートすると思うことにする」と結んだ。
●=のぎへんに斉
ZAKZAK 2008/02/12