 貫地谷の好演が光る「ちりとてちん」(クリックで拡大) |
上方女流落語家の青春模様を描くNHK連続テレビ小説「ちりとてちん」。2月29日には、視聴率(ビデオリサーチ調べ、以下同)が地元・関西地区では、番組スタート以来初の20%超えを達成するなど終盤に向けて人気がうなぎ上り。東西の寄席もにぎわい、女性の入門志願者が増えるなど思わぬ効果が広がっている。
ドラマは貫地谷しほり(22)演じる福井県小浜市出身のヒロイン・喜代美が落語家、徒然亭若狭として成長してゆく物語。師弟関係を人情たっぷりに描き、古典落語を映像化した劇中劇などを入れる新鮮な演出がファンを増やしている。
2月3日にはNHK大阪ホールで、貫地谷をはじめ、徒然亭一門の面々による異例の「ファン感謝祭」を開催したほど。
“落語モノ”といえば、宮藤官九郎が脚本を手がけたTBS系ドラマ「タイガー&ドラゴン」(05年)や、昨年公開の映画「しゃべれども しゃべれども」(平山秀幸監督)が高く評価され、現在、立川志の輔の創作落語を映画化した「歓喜の歌」(松岡錠司監督)も公開中。そんなブームに、女流落語家のドラマが拍車をかけた形だ。
現実の上方落語協会に所属する女流落語家は5人(修業は除く)。一昨年オープンした大阪待望の定席「天満天神繁昌亭」では昨年12月、5人が勢ぞろいした1週間にわたる女性落語家特集が大盛況に終わった。
恩田雅和支配人は「オープン以来満員が続いていますが、女性落語家目当てのお客さまもいる。ドラマがPRに一役買ってくれているのは本当にありがたい」と語る。昨年末には、露(つゆ)の都(みやこ)(52)と桂あやめ(44)にそれぞれ、女性の弟子が新たに入門したという。
一方、東京の噺家もドラマの影響を肌で感じている。真打ちの古今亭菊之丞(35)が語る。
「お客さまから、今まで無かった質問があるんですよ。お寺の本堂やお蕎麦屋さんを借りての寄席では“うちには見台(けんだい)も膝隠しもないけど落語をやってもらえるのか”ってね」。菊之丞はこう答えた。
「あれは上方落語。江戸落語には必要ないんですよ」
東京の寄席は週末や会社帰りの客が舞い込む平日夜の大入りが珍しくなくなった。菊之丞によると池袋演芸場では、大御所の橘家円蔵(73)が出演した際にこんな出来事もあったという。
「楽屋口に制服姿の女子高生が“弟子にしてください”とやってきた。師匠が“もう取っていないよ”と言うと、女子高生は泣き出したそうです。それを見た師匠も“こんな純粋な子がいるんだ”と泣いたそうですよ」
現実の寄席はドラマ以上にドラマチックだ。
ZAKZAK 2008/03/04