 6通りのボブ・ディランをみせる「アイム・ノット・ゼア」(クリックで拡大) |
フィクションに勝る劇的な人生を歩んだカリスマ・ミュージシャンの伝記映画の公開が相次いでいる。
1962年のデビュー以来、なお現役でトップを走るボブ・ディラン(66)を描いたのが「アイム・ノット・ゼア」(公開中)。イメージの破壊と再生を繰り返してきたディランの人生を6つのステージに分け、6人の俳優がそれぞれのディランを演じる。
中でも極めつけが、60年代中期のディランを演じた女優、ケイト・ブランシェット(38)。これでベネチア映画祭で主演女優賞を受賞し、アカデミー賞助演女優賞にもノミネートされた。当時のディランの両性具有的魅力を体現した演技が見逃せない。
他にもリチャード・ギア、今年1月に28歳で亡くなったヒース・レジャーが出演している。
パンクロックの嵐が吹き荒れた70年代後半のイギリスに現れた伝説のバンド「ジョイ・ディヴィジョン」のボーカリスト、イアン・カーティス。その23年間の短くも波乱に満ちた生涯を描いたのは、「コントロール」(順次全国公開中)。
活気のない小さな町で、事務の仕事をしつつ、音楽に生涯をささげようと決意したカーティス。親友の恋人と恋に落ち、19歳で結婚。カリスマヒーローとして注目を集める一方で、病気に悩み、献身的な妻と情熱的な愛人との間に挟まれ、自身のコントロールを失う。そして80年に自殺−。生き急いだ姿や切実な瞳にあこがれを抱いて青春時代を過ごした人にとっては、映像を見ているうちに当時の自分の魂が蘇る切ない一作だろう。
リオデジャネイロのスラム街を舞台にしたドキュメンタリー映画「ファヴェーラの丘」(公開中)は音楽が秘めた力を教えてくれる。元麻薬密売人が音楽で人生のすべてを変えようとレゲエグループを結成し、奮闘する姿を追う。
邦画では、3年前に急逝したフォークシンガー・高田渡さんの姿を追ったドキュメンタリー「タカダワタル的ゼロ」(5月10日公開)が見せる。ひょうひょうとした姿や言葉に、ハッとさせられ癒やされる。
ミュージシャンの人生に迫る映画を見て彼らの音楽を聴くと、これまで以上によりリアルに、音楽や歌詞が心にしみてくる。
ZAKZAK 2008/04/28