 「スティールの別動隊」ともいわれるファンドに狙われた朝日放送(クリックで拡大) |
大証2部上場の朝日放送(大阪市、ABC)が米投資ファンドのターゲットになっている。すでに発行済み株式数の14.43%を取得し、昨年9月末時点で筆頭株主だった朝日新聞社の保有比率を抜き去ったとみられる。このファンドは「米スティール・パートナーズの別動隊」ともいわれ、ABC関係者も「とりあえず見守るしかない」と警戒心を強めている。
ABC株を大量保有しているのは、米デラウェア州に本拠を置くリバティ・スクェア・アセット・マネジメント。2003年12月に5.11%を取得して以降、積極的に買い増しし、昨年12月26日時点で14.43%となっている。昨年9月末時点で14.2%を保有し、筆頭株主だった朝日新聞社を保有比率で抜き去ったとみられる。
リバティがABCに目を付けた理由は何なのか。ファンドに詳しい関係者は次のように分析する。
「放送局は放送法の外資規制で守られているため、外資が放送局の経営権を支配することはできない。株式の大量報告書でも取得目的を純投資としており、最終的にはABCやグループの朝日新聞社、テレビ朝日にABC株を高く取ってもらい、利益を得る算段ではないか」
リバティが大株主として浮上して以降、テレビ朝日が防戦するようにABC株を買い進め、同社株は右肩上がりで上昇している。
リバティはABC株の14.43%(60万3710株)を約67億円をかけて取得。平均取得価格1万1100円強に対して12日の終値は1万6230円。1株あたり5200円強の含み益がある計算で、この水準で全株を売却すれば30億円規模の利益をゲットできることになる。
そのリバティは、5月に開かれたアデランスホールディングスの株主総会で社長らの取締役再任案を否決に追い込んだスティールと関係が深く、「スティールの別動隊」(市場筋)ともいわれている。
昨年5月にスティールがブルドックソースにTOB(株式公開買い付け)を仕掛ける際、公開買付届出書のなかでリバティを「特別資本関係を有するリミテッド・パートナーシップ」と蜜月ぶりを強調。それ以外でも、サッポロホールディングスの株式などをスティールとともに共同保有し、「モノ言う株主」としての横顔もある。
先のファンドに詳しい関係者は「株式を有利な条件で買い取らせるため、スティールばりに、ありとあらゆる手を尽くしてくるだろう」とみる。
当のABCはリバティについて、「特定の株主さまの個別の活動についてコメントすることは控えます」(広報)としているが、あるABC関係者は「朝日グループの再編が進むなか、どの社も資金面に余裕がなく、見守るしかない」と不安を隠さない。
ABCも厄介なファンドに狙われたものだ。
ZAKZAK 2008/06/13