 柳明菜監督(左)と映画に出演した妹の裕美のフレッシュコンビ(クリックで拡大) |
昨年、大学を卒業したばかりの女性が監督した長編映画「今日という日が最後なら、」が先週末から公開されている。自主製作を飛び越えいきなりの商業映画デビューは快挙だ。
映画は東京・八丈島を舞台に、別々に育った双子の姉妹が再会し、手作りのイベントを企画して島の活性化に力を合わせるストーリー。短編含め今まで一度もメガホンを取ったことがないまっさらな新人が撮ったとは思えない手堅い演出だ。手がけたのは2007年に慶応大環境情報学部を卒業したばかりの柳(やなぎ)明菜監督(24)。
同級生が次々と“就活”をして企業の内定をもらう中、進路に悩んでいた。
「大学4年を迎える春休みに社会起業の研究会合宿で八丈島を訪れた時、島の観光客が毎年減っていくことを知りました。すぐ『映画で活性化しよう』とひらめいた」と柳監督。
スポンサーを募るためプレゼンテーションをした。「『Runner』のような曲を下さい!」と飛び込み営業で歌手のサンプラザ中野くん(47)=今年1月に改名=にアタックして快諾を得た。だが、その後は苦難続き。島の商工会から750万円の援助が決まったものの、学生中心のスタッフは準備疲れで解散してしまった。
「家で泣いていたら、友だちからメールでアップル創業者のスティーブ・ジョブスのスピーチ文が送られてきた。『鏡に向かって、今日が最後の日なら自分は何をしたいか問う』というフレーズに元気をもらった」。
映画業界の経験者を招いて仕切り直し。主役の双子姉妹には同じ学部に進学していた3歳下の妹・柳裕美を抜擢。新進女優の森口彩乃(21)とコンビを組ませた。裕美は「女優には興味がなかったけれど、頑張っている姉の力になれるならと思って」と応えた。
大学を卒業した昨年4月から撮影に入り、島民の協力で無事終了。柳姉妹は撮影の合間、スタッフ50人分の炊き出しにも汗を流した。「編集作業をプロに頼むという考えがなくて、自分でやりました」と柳監督。冒頭、イラストから実写に切り替わるシーンは半ばシロウトとは思えないスムーズさだ。
「最後まで本当にできるかどうか心配してくれた」というサンプラザ中野くんからもエンディングテーマが届き、無事完成した。
次回作は「競馬をテーマにした映画を撮りたい」と近く準備にとりかかるという。
シネマート六本木で公開中。のち順次全国公開。
ZAKZAK 2008/06/30