 かわいらしく主題歌を歌う「藤岡藤巻と大橋のぞみ」。鼠先輩は薄っぺらい?(クリックで拡大) |
お盆休みを前に宮崎駿監督(67)の「崖の上のポニョ」が映画、主題歌とも快進撃を続けている。♪ポーニョ、ポーニョポニョ−と響きが耳にこびりつくこのフレーズ、語感分析の専門家によると、実は「子供より大人をひきつける」というから、まんまと戦略にハマったか。
映画は来月上旬にも興行収入50億円突破が見える大ヒットで、同名の主題歌もオリコンシングルチャートで3位につけるなど絶好調な「ポニョ」。
この「ポニョ」という音の響きについて「怪獣の名はなぜガギグゲゴなのか」(新潮新書)などの著書がある「感性リサーチ」代表の黒川伊保子さんは「子供たちの好感度が低くはないですが、抜群というわけでもないのです」と意外な指摘をする。
黒川さんの分析によると、「ポニョ」という響きは、楽しい、遊び心を感じさせる。これは、硬く軽やかな破裂音Pと、口の周辺の筋肉を柔らかく緩ませながら出す拗音Nの組み合わせが、口元の筋肉に緊張から緩和への変化を生むためだ。この口元の変化、子供にも心地よいのだが、どうも発散し足りないのだという。
「プッチョ、ミッキーのように発散で終わるほうが子供には気持ちが良いのです」。吐き出すような音並びで終わる「ナウシカ」「キキ」「トトロ」といった過去の宮崎アニメのキャラクターと比べても、インパクトが薄いという。
では大人にウケるというのはなぜか。
 鼠先輩(クリックで拡大) |
黒川さんは、主題歌を歌うユニット「藤岡藤巻と大橋のぞみ」に注目する。
「唇がなんとも愛らしく動くので、小さな子、特に女の子に発音させるとたまらなくかわいいんです」
「ポ」が弾むようなパワーを与えて「ニョ」で柔らかく包み込む。
「家族の安らぎを体現したような語感ですから、疲れている大人たちの方が癒やされているのではないでしょうか」
「ポ」といえば、「六本木〜GIROPPON〜」がブレーク中の異色歌手、鼠先輩(35)も歌詞の中で「ぽっぽぽぽぽぽ…」と「ポ」を連呼する。
こちらの方は、黒川さんに言わせると「口先で破裂させるP音の連続は中身を伴わない、ふざけた感じを作ります。特に口腔に最も大きな空洞を作るポは、いっそう中身のない感じ」とか。
 黒川井保子 |
つまり、鼠先輩のキャラそのものというわけか。世知辛い世の中で息抜きしたい気分が生んだヒットといえそうだが、「基本的に心地良いイメージではないので、長く続く現象とは思えません」と黒川さん。
鼠先輩には“一発屋”のムードが漂う。
【くろかわ・いほこ】 奈良女子大理学部物理学科卒。独自のサブリミナル・インプレッション導出法を駆使してことばの感性を研究する感性アナリスト。著書は他に「日本語はなぜ美しいのか」(集英社新書)など。
ZAKZAK 2008/08/07