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遺作「いのち」に新たな命…演歌歌手・天木一志さん

2007年12月6日、胃がんのため54歳で死去

 亡くなって1年以上たってから“異変”は起きた。今年1月、USENが運営する音楽配信サイト「ミュージックツリー」で、遺作「いのち」などの配信を開始したところ、歌謡曲部門でダウンロード数1位となった。その後、半年経過しても常にトップ10を維持してきた。

 天木さんへ楽曲を提供してきた作詞家、にしかずみ氏は、「声に特徴がある。五木ひろしさんと山川豊さんを足して2で割った感じ。五木さんほどエグらず、山川さんほどサッパリし過ぎていない。その声が受け入れられているのではないか」とみる。

 たとえば「千の風になって」の秋川雅史、「愛のままで…」の秋元順子など、最近のヒット曲に共通しているのは「特徴ある声」(にし氏)という。

 「海外でも携帯電話のセールスマンから転じた英オペラ歌手のポール・ボッツ氏、『歌うおばちゃん』のスーザン・ボイルさんが注目されるなど、心に響く本物の声が歓迎される時代になった」

【自ら会社立ち上げ】

 天木さん(本名・高原義夫)は茨城県日立市出身。茨城県内で歌謡教室を開くかたわら、歌手として全国を巡るうち、にし氏と知り合った。甘さとサビを併せ持つ天木さんの声にほれ込んだにし氏は、2006年に「あんた」を作詞。大手レコード会社へ売り込んだが受け入れられず、自ら「マイライフレコード」を立ち上げて販売に踏み切った。

 「さあ、これから、天木の声を全国に」と意気込んだ矢先の07年夏、「いのち」のレコーディングにやってきた天木さんのほおはげっそりとやせこけていた。末期の胃がんだった。その後、回復することなく、12月6日、息を引き取った。遺作となった「いのち」で、甘い歌声に哀愁が色濃かったのは、がんに冒された体で力を十分に出せなかったからでもあった。

 自らの残り少ない命を託した「いのち」は、歌い手がこの世を去った後に新たな命を得て、カラオケファンに浸透中だ。

 にし氏は、天木さんのために立ち上げたレコード会社の3周年を記念して、所属歌手を総動員したベストアルバムを制作。「これからも天木一志の歌声が、聞いた方の心の中に生き続けてほしい」との願いを込め、16曲中の最後に「いのち」を入れた。

ZAKZAK 2009/07/10

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