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【DVDナビ】「ダウト〜あるカトリック学校で」

「美徳の名の下に優しさを葬ろうとしている」

DVD「ダウト〜あるカトリック学校で〜」(クリックで拡大)

 宮本輝の小説に「心ない正論」という言葉があった。正論には、相手を無慈悲に追いつめ第三者を傷つけるところがあるから結構、厄介なのだ。

 主人公の神父がつぶやいたこのセリフも、正義と思いこむことが持つ非情な一面を語っている。本作は、その美徳と優しさのせめぎ合いを描いている。

 原作は2005年トニー賞、ピュリツァー賞を受賞した名作戯曲。それを原作者自らがメガホンを取って映画化した。

 舞台は1960年代ニューヨークのカトリック学校。おおらかで生徒の人望もあついフリン神父(フィリップ・シーモア・ホフマン)は、新しい時代に合った校風を目指す進歩派。ところが校長のシスター・アロイシアス(メリル・ストリープ)は、厳格にして過去からの伝統を重んじる守旧派。

 これだけ性格や考え方の違う2人が同じ組織の運営をすると、周りにとってどんなに迷惑なことかは、サラリーマン諸氏にはよく分かることだろう。

 さて進歩派の神父が、黒人の生徒と不適切な関係にあるとの疑いが出てきたから大変だ。ここぞとばかり守旧派シスターは正論でもって厳しく迫ってくる。この舌鋒鋭い問い詰めには、妻帯者ならきっとカミサンの顔を浮かべてしまうに違いない。

 「マンマ・ミーア」ではラテン的な明るい母親を演じたストリープは、こちらでは一転して、笑いもしない厳格なシスター役。その演技の幅の広さに大女優の力を知った。

 2009年3月公開、本編1時間44分。発売元・ウォルト ディズニー スタジオ ホーム エンターテイメント。3990円。

ZAKZAK 2009/08/31

ダウト〜あるカトリック学校で

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