ヤマト裁判、松本零士はなぜ負けた?
泥沼法廷闘争は終わらず…

松本零士氏  人気アニメ「宇宙戦艦ヤマト」の著作者の座をめぐり争われていた裁判で、東京地裁は先ごろ、映画プロデューサー、西崎義展被告(67)=銃刀法違反などで実刑判決、上告中、写真右=を著作者と認め、漫画家の松本零士氏(64)=同左=の請求を退ける判決を言い渡した。この裁判、松本氏が控訴の意向で、まだまだ続きそうだが、ヤマトよどこへ−。

西崎義展被告  ヤマトは当初のテレビ放映(昭和49−50年)こそ視聴率が低迷したが、52年の劇場版で“浮上”、翌年の「さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち」が“全速前進”の大ヒット作に。

 「キャラクターのイメージから、松本漫画だと思っていた」(30代後半のヤマト世代)という人も多いが、ヤマトを題材にしたゲームソフトの販売をきっかけに平成11年以降、両者の間で泥沼の法廷闘争へ突入した。

 今回の判決で東京地裁は、「企画書の作成から編集まで具体的な指示を行い、一連の作品を創作的に形作ったのは西崎被告」と軍配をあげた。これに松本氏は、「不当な判決で控訴する」と、ヤマトは、まだ着陸できないでいる。

 著作権自体は、映像会社の東北新社が所有。商品化権を持つバンダイビジュアルは「今回の判決は当社の権利関係に影響を及ぼすものではない」とコメントしている。

 あるアニメ評論家は、「西崎氏の逮捕(平成9年)で、『ヤマト』を救わねばという流れが生じたようだ」と前置きしつつ、「沖田十三艦長のキャラクター設定など、最初のテレビシリーズには松本氏のカラーが出ているが、ラストでヤマトが“特攻”する『さらば−』は、明らかに平和・友愛を旨とする“松本サーガ”とは一線を画している」という。映画の製作にかかわった人たちからも、「映画に関してはミリタリー色が強く、西崎氏の思想がより反映されている」という声が聞こえてくる。

 前出の評論家も、「松本氏は、戦闘が強調されたヤマトの対極として『銀河鉄道999』を生みだし、アニメ史に残る優れた作品に育て上げた。松本作品ファンには、むしろヤマトとは距離を置きたいと思っている人が多いのでは」と複雑な事情を解説する。

 今や世界を席巻するニッポンアニメの源流ともいえるヤマトだけに、争いは物語の中だけにしてほしいが…。

ZAKZAK 2002/03/29