「KT」阪本監督、尾行つけられていた
金大中大統領も鑑賞

「KT」  未だ真相が闇の中にある昭和48年の「金大中氏事件」を大胆な仮説に基づいて映画化した話題作「KT」=写真右。5月3日の日韓同時公開を前に、メガホンを取った阪本順治監督(44)=同左=が、夕刊フジ・萩原和也記者の取材に撮影秘話を明かした。

阪本順治監督  「僕はナンバーワンの映画じゃなく、オンリーワンの映画を作ろうとして素材を探している。この事件は皆が知らないことが多すぎる」と、阪本監督は創作意欲をかき立てられた。

 故・中薗英助氏の「拉致」を原作に、佐藤浩市(41)演じる陸上自衛隊の諜報機関・陸幕二部の陸佐が事件の実行犯の一員だったとする大胆なフィクションを設定。「かなりの仮説や嘘は入れたが、真実じゃないけど真理に近づきたかった」と、緊迫感みなぎる政治サスペンス映画に仕上げた。

 タイトルは、金氏の事件当時の一般的な読み方「キム・テジュン」(現・デジュン)のイニシャルと暗殺作戦を意味する「Kill the Target」の両者をかけた。

 「企画当初から、『なぜそんな事件を映画にするの? だれが見に来るの?』と周囲にさんざん言われたが、僕は確信犯。作られる映画そのものが事件であってほしい」と語る。実際、製作は一筋縄ではいかなかった。

 「防衛庁には『そんな映画に協力できません』と断られた。その後に尾行も付きましたよ。スタッフを刺激したくなくて撮影中は黙っていたけど」という。だが、「普通の娯楽映画を作ったんだけどなぁ」と笑い飛ばす余裕も。

 「自分の得意ジャンルで撮り続けて失敗を少なくすることには興味がない。今までの経験が通用しないことが多いほど、不安が多いほど、チャレンジして成長できる」と映像作家としてのプライドをにじませた。

 金大統領はすでに大統領官邸(青瓦台)で内々に作品を鑑賞済みだという。事件の詳細については語らなかったが、「大変面白い。とても興味深い内容だ」との感想を非公式に製作会社に伝えてきたというから、迫力はお墨付きだ。

ZAKZAK 2002/04/24