休日など、ヒゲを剃るのがめんどうなとき、「放っておいたら、どこまで伸びるのか」とふと考えたことはないだろうか。髪は、ヒゲは、伸ばし続けたら、いったいどのくらい長くなるもの? 毛髪の研究をする島根大学・生物資源科学部准教授の松崎貴先生に聞いた。
「毛の種類によって毛周期の長さ、とくに成長期の長さが異なるため、毛の長さが違ってきます。頭髪の場合、個人差や男女差がありますが、通常3〜7年ぐらい成長期が続きます。髪の伸びるスピードにも個人差がありますが、およそ0・44ミリ/日とすると、7年間で約1・1メートル伸びることになります」
女性が髪を伸ばし続けても、お尻のあたりまでしか届かないのは、そのためなのだとか。
「ちなみに、『現代皮膚科学大系』(中山書店)によりますと、成長期の長さは、眉毛が8週間、手や腕が12〜13週間となっています。鼻毛やヒゲのデータはありません」
ところで、同じ毛でも、髪の伸びるスピードは、他よりも速く思える。これはなぜ?
「髪だけが特に速いというわけではなく、2倍程度速いだけです。髪の場合は、長い時間伸び続けるので、より速く感じるのではないでしょうか」
また、ヒゲともみあげがつながりそうになることもあるけど、本来、同じものなのか。
「口ひげ、あごひげ、もみあげは元々は別の領域として区別されているものと思われます。これらの領域での毛の生え方(発達の仕方)には個人差がありますので、誰でもつながるわけではありません」
実は、頭髪も「前頭部から頭頂部」と「側頭部から後頭部」とは別の領域として区別されるそうで、男性型脱毛の人も側頭部と後頭部はハゲないことが普通だという。
「この二つの領域が連続しているため、私たちは頭髪は同じと思いがちですが、両者は違う成長調節のしくみを持っています。同様に口ひげ、あごひげ、もみあげもつながってみえても別々の調節を受けているものと思われます」
同じ毛に見えて、領域によっていろいろ違う毛のふしぎ。奥が深いものだ。
