関節リウマチ治療の現状(4) 「寛解の先に」患者の負担軽減

★関節リウマチ治療の現状(4)

2015.05.22


山中寿所長【拡大】

 ファイザー主催のセミナーで、東京女子医大附属膠原(こうげん)病リウマチ痛風センター・山中寿所長は、新しい薬剤のおかげで関節リウマチ患者の寛解率が50%を超える時代になったという。寛解は治癒ではないが、関節破壊などの症状は抑えられている状態だ。山中所長は「寛解の先に何があるのか?」に話を進めた。

 「いままではひたすら寛解を目指してやってきました。しかし、これからは“寛解を目指せ”から“寛解の先に”目を向けることではないかと思っています。いったん寛解に入ったら、薬はそのままでいいのかなど治療の最適化を考えなければなりません」

 治療の最適化とは、合併病態のマネジメント、薬剤を減らす=ステロイド剤、生物学的製剤(エンブレル)、MTX(メトトレキサート)などからの離脱、どういう形で薬剤を使えばコストパフォーマンスがいいか経済学的検討、生命予後の改善や患者の意向をどこまで取り入れられるのか−など。

 「これまでの寛解を目指す治療は高度成長期のようなもので、これからは低成長期の治療が必要ではないでしょうか」

 山中所長は、このように前置きして、そうした場合に参考になりそうな治療データをいくつか紹介し「生物学的製剤を半分にしたり、外しても寛解を維持したというデータもありました」としたうえで、次のような日本と韓国での共同研究の成果にも触れた。

 中等度の関節リウマチ患者に早期に生物学的製剤とMTXを併用して治療すると、67・5%が臨床的寛解になった。6カ月、12カ月臨床寛解を達成した症例を生物学的製剤継続群と中止群に分けて1年間観察すると、中止群の58・8%が1年間の中止を達成、その70%が寛解を持続した。つまり、生物学的製剤とMTXを1年間投与し6カ月以上寛解を達成した症例に生物学的製剤を中止しても1年間寛解を維持しうることが分かった。

 これらのことから山中所長は「ヒット・アンド・ウェイ戦略」ということばを考え出したという。

 生物学的製剤の早期投与、早期に寛解に導入して関節破壊を避ける、6カ月以上寛解が維持できれば休薬を考慮、もし再燃したら同じ生物学的製剤を再投与する。

 「完全に薬をやめるのではなく、柔軟に構えることもできるのではないでしょうか。リウマチ治療は厚い壁を少し抜けた状態で壁抜けまであと少しまできていると思います」と、パリのモンマルトルの丘の壁抜け男のモニュメントの写真を見せながら、山中所長は締めくくった。 =この項終わり (木村進)

 ■ロコモ ロコモティブシンドローム=運動器症候群の略。筋肉や骨などの衰えで歩行などに支障を生じ要介護リスクが高まる。予備軍含め4700万人が危機にある。

 

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