失声症 声が出ない…怒鳴られて体が勝手に反応

2015.12.16


イラスト・メソポ田宮文明【拡大】

 しゃべりたいのに、声が出ない。夢の中で経験することはあっても、現実にこの状態に見舞われると、人は狼狽(ろうばい)する。「失声(しっせい)症」とよばれるこの症状、強烈なストレスによってもたらされるノイローゼの症状の1つなのだ。

 ◇

 メーカー勤務のUさん(31)は、勤勉でまじめな性格なのだが、少々「自信家」の面がある。自分の意見が通らないと機嫌が悪くなり、時には上司相手に議論をふっかけることもある。

 そんな彼が一瞬にして“貝”になってしまった。

 部門会議で叱咤(しった)激励するチームリーダーに向かって、軽く上層部批判をしたUさん。それまで彼の反抗的な態度には目をつぶってきた上司が、この時ばかりは激高し、「黙れ!」と一喝したのだ。

 びっくりしたUさん。真っ青になって冷や汗タラタラ。それ以降、しゃべりたくても声が出なくなってしまった。

 「ノイローゼから来る失声症ですね」と分析するのは、横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長の山本晴義医師。続けて解説する。

 「ノイローゼが引き起こす症状には、心の葛藤が引き起こす身体症状と精神症状があります。身体症状は手の震え、赤面、歩行困難など。精神症状には二重性格や記憶喪失などがあります。いずれも、その症状に逃げることが目的の『疾病逃避』か、その症状を示すことで得をする『疾病利得』という背景を持っている点が特徴」

 疾病逃避は、その症状が出ることでストレス源から逃げること。疾病利得は、症状によって周囲の同情を得るなどのメリットがもたらされること。いずれも体が勝手に反応して現れる症状だ。

 「同じ精神症状でも、鬱状態に向かうと自殺の危険性が出てきますが、失声症などは『自分を守るための症状』なので、精神が安定すれば治ります」(山本医師)

 Uさんを怒鳴ったチームリーダーも、それ以来言葉少なだそうだ。山本医師によると、夫婦げんかで夫から「黙れ!」と怒鳴られて失声症になった奥さんもいるとか。

 「黙れ!」は、ここ一番というときに取っておいたほうがよさそうです。 (長田昭二)

 

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