もともと四足歩行だった人間は、二足歩行の便利さを手にしたとき、「腰痛」という苦難も背負い込んでしまった。そんな現代人共通の悩みである腰痛を、いとも簡単に消し去る運動法があるというのだが…。
「大腰筋(だいようきん)」という筋肉をご存じだろうか。おなかの奥、腸の後ろあたりにある腰椎から、股関節の下にある小転子という太腿の骨の一部につながる大きな筋肉だ。
主として脚を持ち上げるときに使われる筋肉だが、じつはこれが腰痛の悪化にも、反対に改善にも、大きな役割を担う存在だった。
『1日30秒 足を振るだけでしぶとい腰痛が消える本』(サンマーク出版刊)の著者で整体院「骨と筋」代表の宮腰圭氏によると、「大腰筋は上半身と下半身をつなぐ唯一の筋肉。この筋力が低下すると骨盤と腰椎の支えが弱くなり、上半身が不安定になって腰痛が起きる」という。
言い換えれば、大腰筋を鍛えて強化すれば上半身も安定して腰痛は解消する−ということになる。その理論に基づき、著者が考案したのが、本書で解説されている「足振り体操」。具体的な運動法は次の通り。
まず、背筋を伸ばして立ち、顔はまっすぐ正面を向く。
次に一方のひざを、太腿が45度の角度になるまでゆっくり上げる。
この状態でひざを伸ばすように足を振り出す。このとき、足先を上に蹴り上げるのではなく、ひざを支点にして「ひざを伸ばす」という意識で行う。ひざを伸ばしたとき、振り出した脚と、支えるもう片方の脚の角度はきれいに45度になる−ということだ。
足を挙げてから振り出すまでの動作を1−2秒かけて行い、これを両足交互に15回ずつ、1日1セットを行うだけで、大腰筋が強化され、腰痛の予防と解消効果がもたらされるというのが著者の理論。