日本医科大学付属病院 形成外科・美容外科 ケロイドなど傷跡キレイに「メカノセラピー」

★日本医科大学付属病院 形成外科・美容外科

2014.02.26


日本医科大学付属病院 形成外科・美容外科【拡大】

 傷あとなどが赤く盛り上がるケロイドは、一般的に治療をしても再発リスクが高いと言われる。赤くミミズ腫れのようになる肥厚性瘢痕(はんこん)も、多くの人を悩ます。なぜ生じるのか。

 長年の謎だった状況に終止符を打つべく、ここ数年、世界に先駆けてメカニズムを解明してきたのが、日本医科大学付属病院形成外科・美容外科。もともと熱傷やケロイドなどの治療で、国内トップの実力を持つ。

 昨年の論文では、小川令准教授(40)が、重力などの物理的な力によって細胞が影響を受ける「メカノバイオロジー」という概念で、医療に応用する「メカノセラピー」について、物理的な力をコントロールする医療と新たに定義した。このメカノセラピーで、ケロイドなども改善することを実証し、国内外に衝撃を走らせたのだ。

 「重力のある地球に住む人間の細胞には、常に物理的な力がかかっています。傷ついて硬くなった皮膚は伸びないので、力が強くかかります。部分的に強い力がかかり続けることで、組織はさらに線維化して増殖し、ケロイドや肥厚性瘢痕となってしまうのです。この過剰な力を分散して弱める治療で、傷あとはキレイに治ります。また、メカノセラピーを考慮した手術の傷あとは、ケロイドなども起こしにくいのです」(小川准教授)

 例えば、手術で腹部に縦につけた傷あとは、重力や縦方向に走る腹筋で、上下に引っ張られる。力のかかる部分が非常に強いのは傷の両端。その影響で細胞が増殖し、組織が線維化して盛り上がりやすくなる。

 ところが、傷を横一文字にすると、上下の力は傷あと全体に分散されるため、ケロイドなどになりにくい。小川准教授は、コンピューターの3D解析などでも、細胞への物理的な影響を調べる方法を構築し、臨床応用している。

 「腹部や胸部など、身体の箇所によっても、細胞に対する物理的な影響は異なります。メカノセラピーは、細胞ごとの影響を考えることで、さまざまな応用が期待されているのです」(同)

 傷あとだけでなく、糖尿病などの壊疽(えそ)のように組織の一部が死滅した場合も、医療機器を用いて傷に陰圧や衝撃波をかけると、細胞や毛細血管が再生されるという。

 さらに、小川准教授が取り組む米国ハーバード大学との共同研究では、脂肪組織から取り出した幹細胞(多種の細胞に分化できる細胞)に水圧を負荷することで移植可能で十分な軟骨を再生できることも突き止めた。

 「人の膝の関節軟骨には、重力や体重により、歩行時に深海300メートルほどの水圧(30気圧)がかかっています。つまり再生医療では、人体で起こっているのと同様の物理的な力が必要なのです」

 メカノバイオロジーやメカノセラピーは、応用範囲が幅広いだけに、形成外科分野だけでなく他科からの注目度も高い。「誰もが応用できるメカノセラピーを確立したいと思っています」と小川准教授。

 より良い医療のために、最先端の研究に終わりはない。 (安達純子)

<データ>2013年実績
・外来患者数約4800人
・手術数約1200件
・ケロイド/肥厚性瘢痕(はんこん)治療 約2000件
・病院病床数899床
〔住所〕〒113−8603 東京都文京区千駄木1の1の5 (電)03・3822・2131

 

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