ギラン・バレー症候群 食中毒後の発症が多く、重症なら全身マヒの恐れ

2014.07.17


カンピロバクターの電子顕微鏡写真(国立感染症研究所提供)【拡大】

 食中毒を起こしやすい季節。特に細菌性食中毒の中で最も多いカンピロバクターには要注意。下痢症状が治った後に、ギラン・バレー症候群という別の病気を発症する危険性がある。食中毒には十分気をつけよう。

 【抗体が神経を攻撃】

 ギラン・バレー症候群は、筋肉を動かす運動神経が障害され、急に手足に力が入らなくなる難病。国内の年間発症数は1300−1400人で、その約7割に細菌やウイルスの先行感染(下痢や上気道炎)がみられるのが特徴だ。

 千葉大学医学部付属病院・神経内科の桑原聡教授が、「先行感染で最も多い(約30%)のが、カンピロバクターです」と説明する。

 「人は細菌やウイルスに感染すると抗体を作ってそれらを攻撃します。カンピロバクターの表面の一部には運動神経の表面と同じ構造が存在するため、カンピロバクターに対して作られた抗体が間違えて運動神経を攻撃してしまうのです」

 現在、数種類の細菌とウイルスの先行感染も原因になることが知られているが、完全に証明されているのはカンピロバクターだけだ。

 【下痢の後に症状出現】

 ただし、カンピロバクターに感染した人のすべてにギラン・バレーが発症するわけではない。

 「カンピロバクターには遺伝子タイプがあり、それに対して人の方にも抗体を作りやすい遺伝子タイプがある。その両方が数百分の1の確率で一致すると発症するのです」

 食中毒の下痢は3−4日で治るが、その後も抗体は残る。食中毒症状と入れ替わりで、感染から1−2週間してギラン・バレーの症状が現れる。両手足の筋力低下が起こり、両手足の感覚障害が加わる場合もある。症状は日単位で急速に悪化し、2−3週内でピークを迎え、その後徐々に回復に向かう。

 「70%は回復するが、戻るのに1年かかる人もいます。20%は後遺症のために歩行に介助が必要になります。数%は肺炎や肺塞栓を起こして亡くなることもあります」

 【予防は食中毒対策】

 最重症例では、全身の完全マヒでピーク時に体がまったく動かなくなる恐れもある。運動神経の障害が高度であるほど回復が遅れるので、早期の受診・治療が重要になる。

 「治療は、血液中の抗体を除去する血しょう交換療法や抗体の働きを抑える免疫グロブリン大量療法(点滴)を行います。障害された運動神経自体は時間をかけて再生を待つしかありません」

 カンピロバクターは加熱不十分の鶏肉から感染するケースが圧倒的に多い。食中毒を防ぐことがギラン・バレー症候群の予防につながる。

 「歩けなくなるので整形外科を受診してしまう人もいます。ひどい下痢の後に手足に力が入らなければ、早めに神経内科を受診してください」

《カンピロバクターによるギラン・バレー発症の経過》
 (1)カンピロバクターに感染(激しい下痢、腹痛など)
 ↓〈1−2週間〉
 (2)ギラン・バレー症候群発症(両手足の筋力低下)
 ↓〈2−3週間〉
 (3)症状がピークに達する
 ↓
 (4)70%は徐々に回復

 

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