慶應義塾大学病院・心臓血管外科 進化する大動脈疾患治療

★慶應義塾大学病院・心臓血管外科

2014.11.05


慶應義塾大学病院・心臓血管外科【拡大】

 心臓から全身に血液を供給する大動脈は、人間にとって要の大血管。だが、加齢などに伴い血管壁がもろくなり、血液が流れ込むことで血管壁の一部がはがれ、あるいは、血液がたまってコブとなり、解離性大動脈瘤(りゅう)、胸部大動脈瘤、腹部大動瘤を引き起こす。

 高齢化社会で増加傾向にある病気で、血管壁が破裂して大出血になると突然死の原因となる。治療としては、手術によって人工血管に取り換える方法と、血管壁に血流が流れ込むのを防ぐため、筒状のステントグラフト(医療機器)を血管内からカテーテルで置く方法があるが、いずれも大血管に関わるだけに治療は難しい。

 そんな大動脈疾患の治療で、国内トップクラスの実力を誇るのが、慶應義塾大学心臓血管外科。世界的に見てもオリジナリティーの高い治療法を生み出し続けている。

 「身体に負担の少ない低侵襲の治療に力を入れていますが、完全に治すことができなければ意味はありません。ステントグラフトは、血管内治療で身体にやさしい治療法ですが、デメリットもある。それを克服するため、さまざまな取り組みを行っているところです」

 こう話す同科の志水秀行教授(52)は、大動脈疾患治療のスペシャリスト。胸部大動脈瘤の手術では、一般的に脊髄(せきずい)への血流不足で5−10%に麻痺などが生じるが、それを防ぐべく、2008年に世界初の治療法(脊髄虚血予防法)を開発した。常に手術方法そのものを進化させる一方で、身体的に手術が不適応な人の治療法の開発も積極的に行っている。

 「血管が曲がった部分の弓部(きゅうぶ)大動脈には、脳へつながる3つの太い血管があります。既存のステントグラフトを用いると、それらの血流が止まってしまう。手作りのステントで血流を確保するだけでなく、新たな血液の通り道となるバイバス手術を合わせたハイブリッド手術も行っています」(志水教授)

 通常の手術では、大きく胸を切開し、人工心肺を使って体を冷却し、血液循環を停止させなければならない。高齢者で合併症のある人は、手術のリスクが大きい。ところが、ハイブリッド手術では、皮下の血管を治療する小さなキズで済み、人工心肺なども不要だ。

 「完全に治すことを目的としていますので、最適なデバイス(ステントグラフト)を選択するだけでなく、いくつかのハイブリッド手術を考案してきました。循環器内科などと協力したハートチームが構築されていることも、われわれの大きな強みとなっています」

 昨年10月に保険収載された大動脈弁を局所麻酔でカテーテルによって置き換える「経カテーテル大動脈瘤弁留置術(TAVI)」など、積み重ねた実績は幅広い。

 「手術とカテーテル治療の技術を融合させ、将来的にはカテーテル治療だけで、全ての大動脈疾患が根治できるようにしたい」と志水教授。目標に向けて着実に歩みを進めている。 (安達純子)

〈データ〉2013年実績
・手術総数約450件
・大動脈手術約150件
・弓部大動脈ハイブリッド手術約130件(延べ数)
・病院病床数1044床
〔住所〕〒160−8582東京都新宿区信濃町35
 (電)03・3353・1211

 

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