慶應義塾大学病院・リハビリテーション科 筋電による上肢リハビリ最先端研究で国内外牽引

★慶應義塾大学病院・リハビリテーション科

2015.07.29


慶応義塾大学病院【拡大】

 国内死因第4位の脳卒中は、急性期治療の進歩などにより、亡くなる人は減少傾向にある。しかし、発症後の半身麻痺(まひ)などの後遺症では、歩行といった下肢の障害では約6割が改善できても、肩や腕、手など上肢の障害の改善は、約2割にとどまるという。

 そこで、腕の筋肉にわずかに残った筋電を読み取り、手の動きに合わせて電気刺激を送る「HANDS」や、腕の筋電が失われている場合に、脳の「動かす」という信号を読み取り、電気刺激を与えることで筋電を蘇らせる「BMI」が、文科省の脳科学研究戦略推進プログラムをはじめ、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)などの最先端の研究で進められている。

 そんなリハビリの研究開発で中心的な役割を果たし、国内外を牽引(けんいん)しているのが、慶應義塾大学病院リハビリテーション科だ。BMIの独自開発の研究は2008年にスタートし、来年度を目途に製品化への道筋もつけている。

 「もともと私たちは、医学部と理工学部の連携が密なので、先進的な研究を行いやすい環境があります。HANDSやBMIは、対象となる人には有効な手段だと思っています。ただし、先進的な研究が全てではありません。私たちは『少しでも動きやすくする』という視点で、さまざまな取り組みを行っています。その一環として、先進的な研究があるのです」

 こう話す同科の里宇(りう)明元教授(60)は、日本リハビリテーション医学会理事長も務めたスペシャリスト。脳卒中だけでなく、がんのリハビリや心臓のリハビリ、さらに飲み込む機能が失われる嚥下(えんげ)障害のリハビリなど、「動かなくなった」機能を回復する医療の提供は幅広い。

 さらに、脳卒中などで強く握りしめた手を、親指をゆっくりと伸ばすだけで開きやすくするなど、道具を用いなくても簡単にできる方法も指導している。病院でリハビリを行うだけでなく、日常生活の中で行うリハビリについても力を注いでいるのだ。

 「リハビリにはいろいろな方法があります。どういう症状の人に、なにをどういう順番で行うのか。戦略が大切なのです。土台があり、その上で新たな方法として先進的な医療を開発することで、治療の幅を広げることが、重要だと思っています」

 里宇教授は、チーム医療を重んじ、後進の育成に力を注ぎ、同科を国内最大規模に成長させた。見据えているのは、既存の医療では回復しない機能を「動かす」こと。

 新しいBMI技術により、手だけでなく、腕や肩、さらには歩行も視野に日本医療研究開発機構(AMED)の資金などで研究を続けている。

 「ローテクからハイテクまでラインアップをできるだけそろえ、QOL(生活の質)の改善に貢献していきたいと思っています」と里宇教授は話す。超高齢化社会で重要度が増すリハビリ医療の進展のために、尽力中だ。 (安達純子)

【データ】2014年実績
・リハビリ提供件数 約6万件(うち約4割はがんのリハビリテーション)
・BMI 30例
・HANDS 50例
・筋電図検査 約400件
・ビデオ嚥下造影検査 約600件
・病院病床数1044床
〔住所〕〒160−8582 東京都新宿区信濃町35番地 (電)03・3353・1211

 

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