飽食による“55歳寿命説” 「空腹状態」が病気リスクを引き下げる

2016.05.27

石原結實(著)『日本人はもう55歳まで生きられない 少食が健康長寿のコツ』(ビジネス社、1200円+税)
石原結實(著)『日本人はもう55歳まで生きられない 少食が健康長寿のコツ』(ビジネス社、1200円+税)【拡大】

  • <p>石原結實氏</p>

 「平均寿命」という言葉のまやかしにだまされている日本人は少なくない。中流意識の強い日本人は、黙っていても「自分は平均寿命まで生きられる」と考えがちだが、それは大間違い。積極的に健康に意識を向けないと、55歳まで生きられない−という本が出た。

 日本は世界一の長寿国−と思っている読者は多いだろう。確かに数字の上ではそうなのだが、詳細にその内容を見ていくと、われわれ働き世代が平均寿命の80歳まで生きられる根拠は何もない。

 平均寿命を支えているのはかつて粗食で過ごして、いま90歳を超える長寿者が元気でいてくれるから。一方では40代、50代の働き盛り世代が次々に倒れていることも事実。そのあとに続く子供たちにも飽食から来る肥満の影響は及んでおり、このままでは日本が長寿世界一から転落することは間違いない状況だ。

 そんな今、安穏と暮らす日本人に警鐘を鳴らす1冊が出た。『日本人はもう55歳まで生きられない 少食が健康長寿のコツ』(ビジネス社刊)がそれだ。

 著者は医師で健康関連書籍を多数持つ石原結實氏。日本の長寿促進にブレーキをかけている大きな要因として、がん、糖尿病、不妊を挙げる著者は、これを克服することこそが健康長寿を実現するカギだ、と説く。そして、それをしないと、もはや55歳まで生きることさえ難しいとも…。

 80歳という平均寿命を提示されている国に暮らしながら、55歳まで生きられないとはあまりにも残念だ。ぜひ本書から、健康長寿実現の秘訣を学びたい。

 人間の歴史は「飢餓との闘い」の連続だったと著者はいう。現代のような農業工学や食品工学のない時代は、常に食べ物は不足し、空腹状態で人生を送っていたのだ。そんな人間を慰めるため、ヒトの体には、空腹になることで与えられるご褒美がある。胃の細胞から分泌される「グレリン」というホルモンがそれで、これが出ることで別掲の健康効果が得られるというのだ。

 言い換えれば、身の回りにいつでも食べ物があり、空腹を感じる暇なく暮らしている現代人の体では、グレリンが分泌する機会も減ってくる。その結果、先に挙げたさまざまな病気や病態を引き起こすリスクを高めてしまう−というのが著者の主張だ。

 では、具体的にどうすれば「飽食」から「少食」へ移行できるのか。1日3食をすべて「腹八分目」にできる人は、それに越したことはない。しかし、多くはそれができなくて困っている。そんな人に著者が勧めるのが「1日2食」の生活だ。

 朝昼夜のどの食事を抜いても構わないが、著者が勧めるのは「朝食抜き」。人は睡眠中、事実上の「断食」をしているので、断食明けに固形物を食べると消化器系に負担をかけることになる−という考えだ。熱い紅茶にハチミツか黒糖、それにすり下ろしたしょうがを入れて飲む程度で十分だし、そのほうが健康効果はグンと高まる。その分、夜は好きなものを食べていいというのだから、ハードルはそれほど高くない。

 「おなかが空いたときには甘いものが空腹感を満たすそうです。黒糖やチョコレートをひとかけら食べるように石原先生に指導され、実践した結果、1カ月で3キロやせました」と語るのは、編集を担当したビジネス社の本田朋子氏。

 本気で長生きしたいなら、まずは空腹になれておくべきだ。 (竹中秀二)

 ■石原流 「空腹の効用」
 ・食欲の増進
 ・心臓機能の増進
 ・自律神経調節
 ・抗ストレス
 ・脳の海馬(記憶中枢)の血行をよくして記憶力増強、ボケ予防

 

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