聴覚治療で最先端の医療提供 難聴改善すれば認知症リスク減 慶應義塾大学病院・耳鼻咽喉科

★慶應義塾大学病院・耳鼻咽喉科

2016.06.08

慶應義塾大学病院
慶應義塾大学病院【拡大】

  • <p>小川郁教授</p>

 近年、国内外の疫学調査で、高齢者の難聴で認知症のリスクが高まることがわかってきた。昨年1月に発表された厚労省の「認知症施策推進総合戦略〜認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて〜(新オレンジプラン)」にも、認知症の危険因子の中に「難聴」が盛り込まれた。

 加齢に伴う難聴を治すのは困難で、補聴器をいかに使うかがカギとなる。また、中耳炎や耳硬化症(じこうかしょう)など、病気で音がうまく伝わらない場合は、聴力改善手術といった治療が功を奏す。

 そんな聴覚治療で、最先端の医療を提供しているのが慶應義塾大学病院耳鼻咽喉科である。耳鼻咽喉科グループとして全国最大規模を誇り、オリジナルの人工耳小骨(じしょうこつ)を用いた手術は日本トップクラス。耳の奥にある内耳(ないじ)に対する人工内耳埋め込み術も得意とし、さらには、将来を見据えたiPS細胞の研究なども行っている。

 「耳小骨や内耳などの障害で、音が伝わりにくい状態は、手術などで治すことが可能です。しかし、加齢に伴い聴覚神経やセンサーが衰えている場合は、現状では治すことができないため、補聴器が有効な手段となります。認知症を予防する上でも、今後、さらに重要性が高まると思います」

 こう話す同科の小川郁(かおる)教授(61)は、聴覚改善手術のスペシャリストであり、日本耳科学会理事長を務めるなど、聴覚改善に対して幅広い活動を行っている。

 「聴覚と言語機能は表裏一体で、高齢者で難聴を放置していると、コミュニケーションをとることが難しくなります。楽しい、あるいは、うれしいなどの情動反応との関わりも深いため、難聴が進むと、認知機能の低下につながるのです。そのことをより多くの方に、知っていただきたいと考えています」

 高齢者の中には、耳鳴りに悩む人もいる。それも補聴器で改善できるそうだ。しかし、慣れない補聴器を使用すると、音の伝わり方が不自然、音が大きすぎる、雑音があるといったことから、使用したくないと思っている人もいる。

 「日本耳鼻咽喉科学会では、専門医の中で補聴器相談医を認定しています。全国に4000人以上いますので、ご相談いただきたいと思っています」

 日本では、加齢に伴う難聴や耳鳴りに対する補聴器は、保険適用にはなっていないという。高性能の補聴器は外国製のものが多く、経済的な負担は重くなりやすい。

 「超高齢化社会の日本では、認知症予防の対策は急務です。加齢に伴う難聴の改善も、私たち医療の現場だけでなく、異業種を含む多くの人の力が必要になるでしょう。治療の技術向上はもとより、社会的にも高齢者の聴力回復が当たり前になるように、これからも取り組んでいきます」と小川教授は話す。難聴克服に向けて奮闘中だ。 (安達純子)

【データ】2013年度実績
・入院全身麻酔手術 約800症例
・聴力改善手術(鼓室形成術、アブミ骨手術など)295件
・病院病床数 1044床
〔住所〕〒160−8582 東京都新宿区信濃町35 電話/03・3353・1211

 

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