ストレスが原因の心筋梗塞 交感神経が高ぶり血圧上昇、血栓も

2016.09.28

イラスト・メソポ田宮文明
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 何事にも終わりはある。人の命も同様。人生の最期は、愛する家族に見守られて…と思いたいが、ストレスはそれさえも邪魔しようとする。10年続いたこの連載は、そんな悲劇で幕を閉じる。

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 自営業のOさん(51)は2年前、妻の浮気が原因で離婚した。相手の男を訴えたが、和解金はたったの270万円。大切な妻を中古のプリウスより安い金額で奪われた彼は悲嘆に暮れた。

 子供もない個人事業主。何日も、誰とも会話のない日が続く。寂しさと強烈なストレスは、不眠を呼び、食欲を奪い、酒だけを与えた。

 ある日の昼、電話に出ない彼を心配した取引先がマンションを訪ねた。管理人と部屋に入ると、リビングに横たわる変わり果てた姿…。行政解剖の結果、死因は急性心筋梗塞。死亡推定日は2日前とされた。

 「よほどストレスが強かったのでしょう」と語るのは、大森赤十字病院心臓血管外科部長の田鎖治医師。精神的なストレスが心筋梗塞を引き起こすメカニズムを説明する。

 「ストレスで交感神経が高ぶると、心臓は興奮して血管も収縮し、血圧が上がります。また血液がドロドロになって血栓ができやすくなる。心筋梗塞になりやすい状態になるのです」

 Oさんは自営業なので会社の健診はない。もちろん市町村の健診制度はあるが、忙しさを理由に無視していた。動脈硬化の有無はもちろん、自分の血圧すら知らなかった。

 その点サラリーマンはなかば強制的に会社で健診を受けさせられる。しかし、何らかの異常を指摘されていても、「症状がないから」と放置する人は少なくない。

 「たとえ症状がなくても、生活習慣病を放置している人が強いストレスを受けると、いつOさんのようになっても不思議ではない」(田鎖医師)

 ストレスは目には見えない。症状のないものと目に見えないもの−。そんな「実体のないもの」に命を奪われるほどつまらないこともない。

 ストレスは、下痢や頭痛を引き起こすだけの存在ではない。「ストレスくらい…」と甘く見ているあなたの命を奪い去る機会を、虎視眈々とうかがっているのです。 (長田昭二) =おわり

 

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