長時間のパソコン仕事。ふと気づくと目がショボショボし、肩がコリコリ…。典型的な「眼精疲労」だ。単に目を酷使しているだけでなく、精神的なストレスがあると、目の疲労は増悪する。モノ言わぬ目の悲鳴に、今こそ耳を傾けるべきなのだ。
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今年春から大手IT企業の部長に昇格したIさん(50)は、毎日会議の連続。会議室では資料を読み、自席に戻ればパソコンの画面を凝視し、彼の目は休まることがない。
しかも、部長になってからはストレスも大きい。偉くなって初めてわかる上役の苦労が、すべて目の疲れとなって現れているようなのだ。
「目に疲労を感じて、それでいて炎症などの器質的な異常がない場合、眼精疲労と診断されます。疲労以外にも肩こりや頭痛などの周辺症状、あるいは集中力の低下などを訴える人もいます」と語るのは、東京都渋谷区にある「みさき眼科クリニック」院長の石岡みさき医師。
目の疲れを訴えて眼科を受診した場合、視力検査をした上で、眼鏡やコンタクトレンズを使っている場合は、度があっているかを確認。ドライアイなど目の異常がない場合に「眼精疲労」という診断が下される。
「同じ眼精疲労でも、例えばパソコンを使う仕事なのにパソコン用のメガネを使っていない人は、まず専用の眼鏡を使うことが先決。そうした要因もなく、それでも厳然と目の疲れがある場合は、薬を使って目の疲労を和らげることになります」(石岡医師)
しかも、その背景にストレスが存在するケースは少なくないという。
「希望しない職場に配置転換されたことで、必要以上に目に負担がかかっている人は少なくない。逆に、希望の職場に異動したり、仕事を辞めた途端、目の疲れも消えてしまう人もいる」というから、ストレスの力はばかにできない。
「ビタミン配合の目薬などで様子を見ますが、基本は目を休ませてあげること。でも、Iさんのような人に限って、寝る直前までスマホを見ていたりするんですよね…」と石岡医師。
日が暮れたら夕刊フジを読むくらいにして、目にも休息を与えましょう。 (長田昭二)