「男、女」意識しない
映画は前に一度出ていますが、こんなにたくさん出させていただいたの、初めて。映画を作る過程も知らないし、監督、スタッフ、共演者も初めての方々で、すごく緊張しちゃった。
今回の「最後の晩餐」(福谷修監督、公開中)の脚本を読んだ時、カニバリズム(人肉嗜食)なんて現実にあってはならないけれど、ある意味、あるかもしれない、という部分がすごく面白く感じました。私が女性のお肉を平然と食べ、ウットリと、おいしいって言うなんて…。もともとホラーを見るの、あまり好きじゃなかった。でも作る過程には興味があったんですよ。
私が演じるのは、整形外科クリニックのお嬢様。他にも付き合っている人がいるのに、加藤雅也さん扮する主人公のことも好き。でもどこか、彼が料理する“肉料理”の魔力に取りつかれている部分もある。もともとはカッコ悪かった彼を奮い立たせる役でもある。それを想像しての役づくりは、結構複雑でした。
私、古い人間だから“誰の子か分からない”なんていう彼女が、自分の中で全く分からなくて。
加藤さんとベッドシーンもありました。サラリと描かれていますが、初めての経験。私には一杯いっぱい。たいしたことしてないのに、もうドキドキ。横を向いたら50センチくらいのところにカメラマンがいるし。ただ、加藤さんがとても雰囲気のある、集中力のある方だったので、精いっぱいついていきました。
ウエディングドレスも、初めてこの映画で着ました。もうあこがれるようなトシでもないしなぁ。着る機会がないかもしれないから、こうして映像に残しておくのも親孝行かな(笑)。
すごいドレスを宝塚時代に真横でずっと見ていたから、案外ウエディングドレスって地味だな、なんて思いました。
いろんな意味ですごく勉強になった半面、まだ思い切って演技ができない、硬くなってしまった後悔はある。
舞台と映像、すごく極端なお仕事だって思うんですよ。舞台って、一分一秒も待ってくれない。でも映像は待っている間にどう過ごすか−。“はいっ本番”って言われた時、どれだけのテンションやモチベーションを一気に出せるかが勝負。その辺が自分はまだまだだなぁ。次の時は、同じ悔しさを二度と味わわないように、って思ってます。
最近は、男性との共演や男性だから女性だから、とは意識しなくなりました。今は“役”だけに集中しています。ただ15年も男役をやるとしぐさが身についちゃう。歩き方とか。でも、もともと女の子だし、性格も昔から変わってない。宝塚時代も、緞帳(どんちょう)が下りればすぐに素の自分に戻るタイプだったし、違和感はもう全くありませんね。
退団した時は正直ホッとした
宝塚には15歳で入り、32歳までいました。家が歌劇団に近いというのが入った理由のひとつ。小さいころ身体が弱く、電車やバスに乗ると倒れちゃう。当時、吉本興業第一期生の募集があって、母はそれも調べたんです。電車に乗らなきゃ通えなくてやめました(笑)。
当時は軍隊のような厳しさ。本当に大変でした。同期も年がバラバラで、私が一番下。“宝塚命(いのち)”って感じの人が多くて、話も全く合わない。ファンの手紙を配るのも下級生の仕事。名前と顔、しかも舞台化粧と素顔を一致させるのが大変だった。自転車(チャリ)で通う私の愛称が“チャーリー”だったように、皆さん愛称で呼びますから…。宝塚名鑑(宝塚おとめ)で必死に勉強しました。
初舞台は17歳。同期が感動で泣く中、私ひとり、「出番これだけ?」って。振りつけの先生に、こんなかわいげのない子は初めてって言われました。それから3年目のダンス試験で一番になり、「あの時の子か」って目をかけてくれて。
初めて先輩方のお稽古を見た時の反応は、不気味ぃ〜、何でいきなり歌うのって感じで。そんな子が、ある日突然、男役に目覚めた。現実にない男像を自由に作れるのがよかったんです。帽子の被り方一つにもこだわりました。
でも上に上がるにつれ、ひきだしがなくなってきた焦りが出てきた。同時に、やり尽くしたな、とも。退団した時は、正直ホッ。体を壊して入院中、仕事が決まったといわれ戸惑った時も。
でも、もう一度みなさんの前に立とう、と決意して、本気で病気(脊髄炎)を治す気になれました。
舞台、ドラマ恐れず体当たり
今、宝塚を出て4つめの舞台「そして誰もいなくなった」(大阪・シアター・ドラマシティ、17−21日)に出ていますが、本当に新鮮。相手の方がどう芝居するのか、どうセリフを言ってくるのかが分からない。その辺が面白い分、怖さもあります。
宝塚は出方が決まってましたからね、序列とかで。だから今、すごく自由。こういうのもアリなんだ、といろんな表現に挑戦しています。
まずは“宝塚出身”って見られ方をするのが、いい意味でも悪い意味でも、早く取れればいいな。もちろん宝塚があって今の私があるし、今でも男役も宝塚も大好きですけどね。でも男役はもうやりたいとは思わない。あれはあのメンバーで、あの舞台でやるからカッコいい。自分の夢を自分で壊したくない。
4月からテレビドラマの撮りが始まります。映像はまだ勉強不足ですが、恐れずに体当たりでぶつかりたい。きっと壁にぶち当たるでしょうが、ぶち破るパワーを、健康維持しながら作っていく。今年一年で、一つ階段を上りたい。
実は宝塚をやめたら普通に結婚しようって思っていたんです。姉が普通に結婚し、2人子供がいるので、私もそうするんだって…。
いま35歳ですが、すごく微妙なトシ。出産も、休養して結婚生活に入ってできるか−。うん、考えますね。
在団中はうまく時間を見つけて…と言いつつ、男性と会えなかった。今は自由ですが、でもなかなか恋愛もねぇ。難しいですよ。私は恋多きタイプでもない。結構、焼きもち焼きかな(笑)。
今ですか? そりゃあね…。でも、ウフフ、ひ・み・つ。
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