記事詳細

【当てちゃる券】一番痛かった思い出 小倉初日12R、吉田の横綱相撲

 弟弟子の森山昌昭(福岡67期)が20日の広島FII初日に落車した。先週の忘年会で「今年もあと一場所、落車には気をつけて」と送り出したばかり。

 前の落車を避けられず乗り上げ落車だった。身長190センチ体重100キロ超級の巨体がたたきつけられたバンクには穴が開いていた(冗談)。衝撃で肋骨(ろっこつ)4本を折り、左の肺が潰れた(肺気胸)。

 電話で話した。

 「吐血して肺に管を入れてます。年内に帰宅できるかどうか分かりません」

 「そこの病院はクリスマスイブには看護師さんがサンタになってプレゼントを配るそうや」と元気づけてみたが、もし年越しを病院のベッドで迎えることになったら、やはり寂しすぎる。

 現役中は「落車がなければいい商売だがこれも競輪選手」と言い聞かせていたが、実際に知らない土地で、何日間も入院するのは心細い。地元の選手が見舞いに来てくれるとうれしかったなぁ。

 ところで、オレの過去一番痛かった骨折はどこか分かります? 正解は右の二の腕の骨。上腕骨だ。当時(30歳)はよく酒の席で、力自慢に腕相撲の挑戦を受けたが、素人に負けたことはなかった。その日は手ごわそうな3人の挑戦を受けた。2人を負かし3人目。勝負に行ったとき、パーンという音が響き、腕が折れた。オレは救急車で運ばれた。

 次の日の手術まで一睡もできないほどの痛みを耐えばかなことをしたと悔やんだ。復帰に4カ月かかり、S級1班からも陥落した。オレはあれ以来、相撲と名の付くものは指相撲すらやらない。

 小倉初日S級特選(12R)は細切れ戦。競輪祭決勝進出で一回り大きくなった吉田が盤石の構え。前受けからの自在戦だ。吉田と真っ向勝負する相手は見当たらない。吉田が先手なら、3番手は他ラインは欲しいところ。守沢や伊勢崎辺りが取り切る。〔3〕⇔〔6〕-〔1〕〔5〕〔7〕。

(元競輪選手)

■内田浩司(うちだ・こうじ)1962年8月26日生まれ。福岡県出身。83年4月に51期生としてデビューし、S級上位で活躍。2015年10月29日に引退。通算435勝、優勝34回(記念Vは92年門司記念など6回)。FI先行・吉岡稔真(としまさ=福岡県65期)元選手の兄弟子で連携は多数。実直な性格と厳しい指導から“鬼軍曹”として恐れられていた。夕刊フジ競輪面にコラム『当てちゃる券』を連載中。競輪祭では特別コラム『小倉競輪祭 なう&リメンバー』を執筆。