【糖質制限 結局いいのか、悪いのか】中高年世代に朗報!医師「小太りでも健康体なら制限する必要はない」

 ひとことで糖質制限といっても、「糖質は摂らないほど身体によい」という極論から、「糖尿病治療には有効だが糖質をまったく摂らないのは危険」といった意見まで多様だ。後者の代表格として、ゆるやかな糖質制限食を提唱しているのが、NPO法人日本ローカーボ食研究会代表理事で灰本クリニック(愛知県春日井市)院長の灰本元医師である。

 「糖質制限を無視して薬物療法にウエートを置く日本の糖尿病治療は、およそ科学的な姿勢からかけ離れています。一方、糖質の厳しい制限が長期化するほど心血管疾患やがんによる死亡率を高めることも多数の観察研究で報告されている。厳しい糖質制限であらゆる健康問題が解決するかのような考えも危険です」と灰本医師は批判する。

 同クリニックが実践する「ゆるやかな糖質制限食」では、初診時のへモグロビンA1c(HbA1c)に応じて糖質摂取量を設定する。HbA1c7・4%以下の患者なら週4回の夕食のみ、7・5~8・9%は毎日の夕食、9・0~11・9%は毎日の朝食と夕食、12%以上は3食-で糖質抜きというように層別化し、HbA1cの値が下がれば制限した糖質量を緩和していくという方法だ。

 「その効果を調べてみると、重症者(平均HbA1c10・6%、1日平均糖質摂取量309グラム)の場合、1日約160グラムの糖質を減らせば7・5%まで引き下げることができた。例えば、毎日500グラムの炭水化物を食べる人は340グラムまで落とせばよく、それ以上の制限は必要ないのです」(灰本医師)

 また、この方法で内服薬やインスリンの使用量も5分の1程度まで減らすことができたという。

 ゆるやかな糖質制限食の追い風となっているのは、近年の研究で分かってきたHbA1cの目標値や低血糖に関する新事実だ。

 「従来の目標値は6・5%以下でしたが、7・5%前後と比較しても総死亡率は変わらず、むしろ6・5%以下に下げると低血糖を起こしやすい。たった1回の低血糖発作で心血管障害発症や総死亡率が約2・5倍に上昇することも明らかになったため、欧米では目標値を70歳未満7%、70歳以上で7・5%、80歳以上で8%に緩和しています」(灰本医師)

 さらに適正体重の指標となるBMI指数も、日本人30万人の観察研究で、最も死亡危険度が低いのは男性23~29・9、女性21~26・9。一番病気になりにくいといわれた22をかなり上回っていた。

 すなわち薬物に頼りすぎる治療も極端に痩せる糖質制限も控えたほうがいいというわけだ。

 「心疾患もがんも一番死亡率が高いのは痩せ型の人です。多少太っていても健康なら糖質制限する必要はないと思います」

 「小太りでいい」という灰本医師の意見は、多くの中高年世代には朗報だ。 (吉澤隆弘)