【病院探訪】痛みに強い 心身の苦痛克服をサポート、トータルケア普及に尽力 国立がん研究センター中央病院の支持療法開発センター

アピアランス支援センター

 がんと告知を受けて治療を受けるときには、がんになったショックや治療に伴う痛みなど、心身の苦痛を伴うが、それらを和らげる方法はある。

 手術や化学療法、放射線療法の副作用対策を「支持療法」といい、がんに伴う痛みなどには「緩和ケア」、心理的な側面へのアプローチは「サイコオンコロジー」という。それらのトータルケアを開発し、実践普及に尽力しているのが国立がん研究センター中央病院の支持療法開発センターだ。

 昨年、多施設共同研究を行う日本がん支持療法研究グループ(J-SUPPORT)を設立し、臨床研究やエビデンス(科学的根拠)に基づく治療法の開発を行っている。

 「超高齢化社会の中で、がんになる患者さんは増えています。早期がんであっても治療の副作用は多く、手術のキズに伴う痛みを強く感じることはあります。再発による不安など、患者さんのQOL(生活の質)の低下を防ぐことが、今後、さらに求められると思います」

 こう話す内富庸介部門長は、サイコオンコロジーの第一人者で、トータルケアのモデルとなるシステムの開発・普及を行っている。

 たとえば、肺がんのステージIIの手術を受けて、術後の疼痛(とうつう)に悩まされる患者がいるとしよう。身体が痛むため「どうせ、自分のがんは再発するのだから」とひどく落ち込み、さらなる治療を拒否したときには、担当医だけでの対処は難しくなる。

 「がんは、インフルエンザのように、人生の中で何度も発症する病気ではありません。そのため、患者さんはどのように対処していいのか、わからないことが多いのです。それをセルフで克服していけるようにサポートすることが、これからの医療には必要といえます」

 2016年の「がん対策基本法」の改正で、医師、看護師、臨床心理士、薬剤師、栄養士、理学療法士など、患者の状態に合わせたトータルサポートの重要性が増した。同病院では、病棟の8階に患者サポート研究開発センターを開設。さまざまなことについて相談でき、行動活性化療法や、リラクセーション法などのセルフサポートで問題解決できる態勢を整えている。

 「患者さんの誰もが、どの医療機関でもサポートを受けられるようにするには、一般の病院が大きな投資をしなくても、簡便に行える方法が重要です。それは決して難しいことではありません。将来的には、がんのみならず、心筋梗塞や脳梗塞、高血圧、糖尿病など、あらゆる病気に対して応用できればと思っています」と内富部門長は話す。

 患者の治療に伴う心身のセルフサポートが当たり前になる日は近いのではないか。 (安達純子)

 ■カツラやメークをサポート

 がん治療では、手術の傷あとや薬の副作用に伴う脱毛・湿疹など、見た目に関わる悩みが患者を苦しめることがある。そんな外見に関わる支援を行うため、国立がん研究センター中央病院では、2013年、アピアランス支援センターを開設した。

 アピアランスは外見や容姿の意味。カツラやメーク法などにより、患者が簡便に悩みを解決できるようにサポートしている。男性限定の外見相談も設置し、誰でも相談しやすいのが特長だ。がん患者を数多く治療する同病院ならではの支援といえる。

 〔所在地〕東京都中央区築地5の1の1/(電)03・3542・2511

Read more