【ブラックジャックを探せ】「サイバーナイフ」で脳腫瘍や体幹のがん退治 日本赤十字社医療センター サイバーナイフセンター長・佐藤健吾さん

佐藤健吾医師

★日本赤十字社医療センター サイバーナイフセンター長・佐藤健吾さん(62)

 進化を遂げるがん治療。中でも、低侵襲と正確さで話題となることの多いのが「サイバーナイフ」だ。脳腫瘍の治療を目的に開発されたこの装置は、自在に動くロボットアームを用い、全方位から狙った組織に可視光線(エックス線)を当てて腫瘍を無力化する治療法。2008年からは脳腫瘍だけでなく、体幹部の固形がんに対しての照射治療にも健康保険が適用され、がん治療の選択の幅が広がった。

 日本赤十字社医療センターサイバーナイフセンター長を務める佐藤健吾医師は、00年からサイバーナイフに携わってきたこの道のスペシャリスト。特に体幹部のがんに対する治療実績の高さで知られている。

 「1回の照射にかける時間は5秒から20秒。これを100回ほど繰り返す。その時間を微妙に変えることで、病変の周囲の組織へのダメージを小さくすることが可能です」

 その高度な技術は高齢者のがん治療も可能にした。過去に佐藤医師は、94歳の肺がん患者への照射を行った経験を持つ。外科手術はとても不可能な年齢だが、サイバーナイフを受けたその患者は98歳になる今も元気だ。

 がんの病期に関係なく、早期から進行がんまで、さらにはがん性疼痛を取ることを目的とした緩和治療にも利用できる。前立腺や肝臓への照射の際は、純金の小さなボールを照射部位に埋め込み、それを目安に照射することで、精度の高い治療を実現する。

 とはいえ、適応外の症例もある。

 「消化管のがんや、バラバラっと散らばるように転移したがんには向いていない。メリットとデメリットをきちんと理解してもらうため、初診には1時間の枠を取って、丁寧に説明するようにしています」

 脳と体幹の腫瘍に対して、痛くもかゆくもない治療で戦いを挑む-。そんな佐藤医師の挑戦は続く。(長田昭二)

 ■佐藤健吾(さとう・けんご) 1955年、岡山県生まれ。80年、浜松医科歯科大学を卒業し、同大脳神経外科入局。93年より岡山旭東病院に勤務し、2000年からサイバーナイフによる治療を開始。05年、新緑脳神経外科横浜サイバーナイフセンター院長。10年より現職。日本脳神経外科学会脳神経外科専門医。医学博士。趣味はランニング(100キロマラソンも完走)とサッカー(JUFA関東大学サッカー連盟マッチコミッショナー、マッチドクター)

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