【ロボット手術最前線】食道がんの手術に有効!ロボットアームの細くなった「ダヴィンチXi」

藤田保健衛生大学病院 ダヴィンチ治療

 ロボット支援下手術(ダヴィンチ治療)は、ロボットアームの先端の医療機器が360度動き、患部を拡大して3D画像で映し出されるなど、精密な手術を行う医師にとっては、大変便利なツールと考えられている。消化器系のがんでは、胃がんが保険収載に向けた審査が行われているが、食道がん、肝がん、膵(すい)がんなど、さまざまな臓器に対する研究が進んでいる。

 「2015年に新たに導入した『ダヴィンチXi』は、従来機種と比べてロボットアームが細いので、食道がんの手術も行いやすいと思います」

 こう話すのは、ロボット支援下手術のオピニオンリーダー、藤田保健衛生大学病院総合消化器外科の宇山一朗教授。胃がんにおける腹腔鏡下手術の第一人者で、治療の発展のために2009年からロボット支援下手術を数多く行っている。その手腕を頼りに、今はまだ自費診療ながらも、ロボット支援下手術を希望する患者は後を絶たないという。

 「ロボットアームが太いと、細かい作業をするときに、アーム同士がぶつかりやすい欠点があります。食道は、肋骨(ろっこつ)の奥に位置し、2つの肺に囲まれた縦隔(じゅうかく)の中を通っています。食道がんの手術では、細かい作業が求められるので、新しい機種は役立つと考えています」

 宇山教授は、現在、胃がんの他に、食道がん、膵がん、肝がんと、ロボット支援下手術の適用拡大に向けた研究を進めている。今のところダヴィンチは1台約3億円で維持費も年間約1000万円と高額だが、技術レベルの向上と普及などで、安価になると予測していた。

 「ロボット支援下手術の機械は、今はダヴィンチしかありませんが、国内外でさまざまなロボットの開発が進められています。競争原理でいずれはもっと安く、使いやすくなると思っています」

 では、オートマティックロボット手術は、どうだろうか。現在は、医師がダヴィンチを操作しているが、人工知能の開発が進み、比較的単純な手術であれば、ロボットだけで行えるようになるのではないか。

 「臓器は、心拍に連動して動きます。心拍が速くなる、あるいは、遅くなる不規則な生体反応に、機械が正確に反応できるようにならないと難しいですね。でも、私が研修医になった頃は、小さな穴から手術をする腹腔鏡下手術は、想像もできませんでした。今はそれが当たり前になっています。ロボット支援下手術も、今後、さらに進化するでしょう」と宇山教授は話す。

 手術現場は日進月歩で進んでゆく。 (安達純子)

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