【気になるこの症状】おなかにポッコリふくらみ…「腹部ヘルニア」かも 内臓が壊死して命に関わることも

ヘルニアの部分は押すと引っ込む

 薄着、水着の季節。おなかにポッコリふくらみを見つけたら「腹部ヘルニア」かもしれない。立ったり、おなかに力を入れると飛び出して、あおむけに寝ると引っ込むのが特徴。早めに治療しておくことが肝心だ。

 【年間15万人が治療】

 おなかの一部分がふくらむのは、弱くなった筋肉(筋膜)の裂け目や隙間から腸などの内臓が飛び出すから。通称「脱腸」とも呼ばれる。腹部ヘルニアに詳しい寺田病院・外科(東京都足立区)の堀孝吏部長が説明する。

 「腹部ヘルニアは子供の病気に思われがちですが、むしろ大人に多い。飛び出す部位は、太ももの付け根(鼠径部=そけいぶ)が約90%と圧倒的に多く、おヘソや手術の傷あとなどから出る場合もあります」

 国内では年間約15万人が治療しているといわれ、誰にでも起こりうるポピュラーな疾患だ。

 【元に戻らないと怖い】

 大人になって起こる後天的な要因は、加齢や運動不足などによる「腹筋の劣化」。それから「腹圧の上昇」も関係する。

 「腹圧を上昇させる原因には、肥満やメタボ、便秘や前立腺肥大症(排尿障害)があってトイレでいきむなどがあります。吹奏楽器の演奏者や重い物を持つ職業の人なども腹圧が上昇するので起こりやすいといえます」

 ヘルニア(飛び出した)の部分はやわらかく、通常は手で押したり、あおむけに寝ると元に戻る。しかし、少しでも痛みを伴うようなら要注意。ヘルニアが元に戻らなくなる「嵌頓(かんとん)」の状態になる危険性があるからだ。

 「嵌頓を起すと、飛び出した内臓が根元で締めつけられ、元に戻らなくなり、強い痛みが出ます。そうなると血流障害で内臓が壊死(えし)して、最悪命に関わります。放置せず、早めに受診して鑑別、治療をした方がいいのはそのためです」

 【治療法は手術のみ】

 受診する診療科は、ヘルニアの診療をしている一般外科。手術以外の治療法はない。内臓の飛び出た穴を修復する手術は、おなかを少し切って行う「切開法」、もしくは「腹腔鏡手術」で行われる。

 「修復方法も、自分の筋肉などの組織を直接ふさぐ方法と、人工物(メッシュ)を使ってふさぐ方法があり、症例によって選択します。一般的には手術時間は30分程度、入院は1~2泊です。場合によっては日帰りも可能です」

 退院後は、デスクワークであれば、すぐに職場復帰できる。ただし、4週間くらいは極力おなかに力を入れないように指導されるという。

 「再発率が10%以上と高い疾患でしたが、ここ20年で手術方法が劇的に進歩し、現在、成績のいい施設では1%以下です」

 ポッコリ出たらスッキリさせよう。

 《腹部ヘルニアの主な種類》
 ★鼠径(そけい)部ヘルニア…太ももの付け根辺りから内臓が飛び出す
 ★臍(さい)ヘルニア…ヘソから内臓が飛び出す
 ★腹壁瘢痕(はんこん)ヘルニア…手術の傷あとから内臓が飛び出す

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