【気になるこの症状】柔道やレスリングで毛に感染、ヒアリより怖い「トンズランス菌」 

培養したトンズランス菌(提供:仲弥院長)

 南米原産のヒアリの上陸が問題になっているが、2001年頃から感染者が確認され、すっかり定着した外来の水虫菌(白癬菌)がいる。頭、顔、首回りなどの上半身に住み着き、皮疹(ひしん)が現れてかゆい。被害が拡大中なので注意しておこう。

 【日本定着、外来の水虫菌】

 外来の水虫菌の名前は「トンズランス菌」。もともとは中南米で流行していたが、1960年代に米国へ、90年代には欧州や韓国に拡大。日本の上陸も時間の問題だった。「仲皮フ科クリニック」(埼玉県川越市)の仲弥(なかわたる)院長が説明する。

 「トンズランス菌は毛を好むので、頭髪や体毛に感染します。ですから上半身の皮膚や毛の接触が多い柔道やレスリングの選手を中心に感染が拡大しているのです。日本に入ってきた経路も、国際試合による感染だと考えられています」

 ある地域の高校の柔道部を調べたところ、約半数の学校に感染者がいたという報告があるという。12年度から中学校では武道が必修化されている。今後もさらに感染者が増える可能性がある。

 【症状のない保菌者も】

 症状は、皮膚と頭髪部の2種類ある。皮膚では皮疹が赤く盛り上がり、環状(輪のような形で)に広がっていく。そして、皮膚がフケのように薄くむけ、かゆい。

 「頭髪部では毛が根元から折れて、黒い点々状に見える『ブラック・ドット』という症状が現れます。さらに悪化すると頭皮が赤くはれて盛り上がり、患部にうみをもつ『ケルスス禿瘡(とくそう)』に進行します」

 皮疹は環状に広がらない症例もあり、診断は難しい。医師が湿疹だと思ってステロイド外用薬を処方してしまうと逆に悪化させてしまうという。

 「トンズランス菌は他人に感染しやすく、撲滅しにくい。それは感染しても症状が出ないキャリア(保菌者)の人も多いからなのです」

 【抗真菌薬で退治】

 柔道やレスリングをやっている、もしくは家族や身近な人にやっている人がいて感染の疑いがあれば、そのことを皮膚科医師にきちんと伝えることが重要になる。治療は通常の水虫(白癬)治療と同じで、抗真菌薬の外用や内服を使う。皮膚症状は市販の外用薬でもいいという。

 「皮膚症状の軽症であれば外用薬で治りますが、進行したものや頭髪部に症状がある場合には爪水虫で処方する内服薬でないと退治できません」

 キャリアは抗真菌シャンプーで駆除できる可能性はあるが、本人の多くは気づいていない。

 「トンズランス菌は、皮膚のすり傷や毛が触れ合うことで感染しやすいが、タオルの共有でも感染の可能性があります。とにかく家族や周囲の人の柔道やレスリングなどの競技の有無が疑う一番のポイントになります」=おわり

 《トンズランス菌の症状》
 ★頭髪部…感染した一部分の毛が根元で折れ、残った毛が黒い点々に見える。悪化すると赤くはれて盛り上がり、うみをもつ
 ★体の皮膚…赤く盛り上がった皮疹が輪のように広がる。皮膚がフケのように薄くむけ、かゆみがある

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