【麺喰いにつき】次の進化は?超老舗「永福町大勝軒」、常連でも飽きない年5、6回の「味変え」

大勝軒(永福町駅前)

 ラーメン好きなら「大勝軒」という店名を聞いたことがあるはず。そしてこの店名は大きく分けて3系統。「丸長系&東池袋大勝軒系」「日本橋大勝軒系」「永福町大勝軒系」である。一番知られているのが「つけめんの元祖」としてTV露出が多かった「東池袋大勝軒系」。しかしながら歴史的に一番古いのは「日本橋大勝軒系」。

 今回は「永福町大勝軒系」について書いてみたい。大きな特徴は「煮干し」。本店は井の頭線永福町駅前にあり、半世紀にわたって行列が続いている。修業してのれん分けを受けたお店が保谷、狭山ヶ丘、毛呂、東岩槻、一ノ割、増戸、東川口、日吉、三鷹などそれ以外も含めて多数ある。

 本店は1955年3月創業の超老舗。創業者はまだ現役89歳。ただし店にはあまり立ってない。基本メニューが1080円で麺二玉入りのボリューム。1年に5、6回の「味変え」をするので常連でも飽きない。煮干しは片口イワシ、うるめイワシ、アジの煮干しなどを使用。節と煮干しで1日65キロも使うという。

 チャーシューは、栃木の芋豚。背脂は庄内豚と栃木産せせらぎとブランド豚を使い分けている。ネギは高級で知られる千住ネギを使用。席が空くとふきんで表裏の二度拭き。一度使ったふきんはすぐに洗濯に出す。

 たっぷり氷が入った水を出すことで知られており、少しでもコップの水が減ったらすぐに追加される。メンマは最上ランクの乾燥メンマを日数をかけて丁寧に戻している。柔らかくておいしいメンマは人気で持ち帰りでも販売しており、多くの人が買って帰る。ラードはこれも高級なオランダ産カメリアラード。レンゲは大ぶりなものを使っており、女性がレンゲに麺をのせて食べているのを見てから十数年前に変更した。

 突然の雨や日照りのためにお客さん用の傘を600本も用意している。とにかく伝説的な話(でも実話)が多く、それらが半世紀の行列に繋がっている。修業したのれん分け店でもこれらのことを全部まねできている店は少ない。

 とにかくスープが熱々なので猫舌の私は別容器で出てくる生卵を購入し、そこに少しスープを注ぎ、半分くらいはつけ麺風にして食べる。麺を食べ終えてもまだスープが熱く、ちゃんと味わって飲めないほど。そこで卵の器に移したスープをゴクゴク飲んで至福の〆。

 他の店でいうところの大盛り以上(二玉)だが、そんなに苦しくなく、食べることができる。もちろん常連はぺろりと食べて帰る。今でも修業者が独立して新店を出しているのでそこを回るのも楽しみの一つである。

 ■ラーメン耳寄り情報 大勝軒(永福町駅前) 1955年3月4日オープンの老舗。半世紀以上行列を続ける伝説の人気店。煮干しをたっぷり使った熱々のスープにふた玉のたっぷり麺。年に何度も味を変える進化し続けるラーメン店。

 ■大崎裕史(おおさき・ひろし) 自称「日本一ラーメンを食べた男」。2017年3月現在で1万1950軒、2万3550杯のラーメンを食破。株式会社ラーメンデータバンク代表取締役、日本ラーメン協会理事。Webおよび携帯の「ラーメンバンク」を運営している。

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