【親を寝たきりにしない9つの処方箋】「ロコモ肥満」と「やせロコモ」対策 どちらも必要な筋肉つけるための運動と栄養を

ロコモティブシンドロームとは

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 中高年までは、生活習慣病にならないために太りすぎを避けるべきだ。しかし、「高齢者は栄養が足りていない」「小太りのほうが長生きする」とも言われている。いったいいつまで肥満を気にすればいいのだろうか。

 「65歳くらいまでは、標準体重を大きく上回らないほうがいいでしょう。65~75歳は運動器の状態に個人差があるのでいちがいには言えませんが、75歳以上ならBMIが30くらいでもやせろとは言いません」

 と語るのは、横浜市立大学附属市民総合医療センターリハビリテーション科の若林秀隆医師だ。

 太っている人はもちろん、やせていても、高齢者なら体重とともに注意したいのがロコモティブシンドローム(ロコモ)だ。筋肉や関節、骨などの運動器の障害のために、移動がしにくくなった状態のことを言う。若林医師は、高齢になると「ロコモ肥満」か「やせロコモ」のどちらかになる人が多く、対策も違うため注意を促している。

 高齢者は一般的に、やせている人より太った人のほうが筋肉量が多く、骨が丈夫なことが多い。しかし膝や腰を傷めやすかったり、運動するのをおっくうがったりするために筋肉が減りやすく、ロコモ肥満になることがある。

 反対にやせている高齢者は、運動量は足りているが栄養が不足していることが多く、そのため筋肉が作られず、骨密度も低いやせロコモになることがある。親が太っていてもやせていても、ロコモを警戒してほしい。

 対策は、運動器の疾患があればそれを治療しつつ、運動と栄養で筋肉をつけることが大切だ。ロコモ肥満の人に多い変形性膝関節症が重症であれば、人工関節置換術で9割の人の膝の痛みがとれて元気に歩けるようになる。やせロコモに多い骨粗しょう症は薬物治療で治療するのが基本だ。どちらにも多い腰部脊柱管狭窄症は、内視鏡手術など患者の負担が少ない治療法があるし、手術以外の方法もある。入院中も体を動かし、早めの退院を目指すといいだろう。

 そしてどちらにも必要なのが、筋肉をつけるための運動と栄養だ。ロコモのタイプによっておすすめの運動は違い、ロコモ肥満なら筋トレと全身運動や有酸素運動が、やせロコモは筋トレのみ行うのがいいそうだ。もちろん、運動したら、しっかり食べることを心がけたい。

 「とくにやせロコモの人は、筋トレ、運動をしたら必ずしっかりと食べてください。そうしないとどんどんやせてしまい、ロコモが悪化、サルコペニア(筋減弱症)が進行してしまいます」

 親に運動を促す場合は「目標5000歩」などと言うよりも、現在の運動量プラス500歩、あと5分、10分など、現在より少しだけ足した量を提案するのがコツだ。

 次回は、「サルコペニアと低栄養」について。(石井悦子)

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