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【ぴいぷる】カリスマ看護師、小山珠美さんが語る“命のスプーン” 患者の「口から食べる幸せ」守りたい (1/3ページ)

 「食べることは命の根幹そのもの。ひとさじのスプーンが命を繋ぐ。そんな思いが『口から食べる支援』の原動力になっています」

 口から食べることが困難とされた人に対し、「食べるリハビリ」のスキルを持つエキスパートだ。摂食は食べること、嚥下(えんげ)は飲み込むこと。脳梗塞や肺炎で、この機能が低下した患者に食事をとるリハビリをして食べる力を回復させ、生きる力を取り戻させる。この20年に関わった患者約8000人のうち9割が、再び口から食べられるようになったという。

 「口から食事をとらないと、口の中の衛生状態も悪くなり、脳の機能も衰えて生きる意欲が弱くなります。食べることは、免疫力の向上や脳の活性化につながります」

 1978年、熊本の看護学校を卒業後、最初に配属されたのはパーキンソン病など難病患者の病棟だった。当時は食べること以外に有効な栄養補給の手段がなく、必死に食事介助をした。

 「手足が動かず、しゃべることもできない。でも、食事介助をすると、口を開けて飲み込んでくれます。舌の上に乗せると、舌が動くんです。食べるって命の育みそのものなんだと強く教えられました」

 その後、看護学校の教員や子育てにより、病院の最前線から離れたが、看護師長として8年ぶりに脳卒中専門のリハビリ病院に復帰したとき、医療の現場では胃ろうが普及していた。胃ろうは、腹壁に穴を開け、管を通して胃に食物や水分を送り込む処置だ。

 「口から食べられる可能性がある患者さんに対し、医師は『誤嚥(食べ物や唾液が気管に入り込むこと)の危険があるから経口摂取禁止』と指示するようになりました」

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