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【ぴいぷる】人と魚つなぐ「魚の伝道師」 元水産官僚・上田勝彦さん「漁業は獲るだけじゃ成り立たない」 (1/3ページ)

 東に漁業組合から魚の締め方など技術指導の要請があれば飛んでいき、西にスーパーや教育機関から調理講習の依頼があれば知恵を授ける。歯切れの良いトークと実践的料理実習で魚の魅力を伝える「魚の伝道師」だ。

 「魚の伝道師は、魚と人をつなぐ接着剤。漁師が苦労して獲った魚を消費者にきれいに食べてもらうには、どうすればよいかを伝え、魚食の普及を推進しています」

 物心ついたときから魚が好きだった。小学3年のときには包丁を研ぎ、マダイをさばくようになっていた。高校時代も生物部で魚を研究。寿司屋でアルバイトをして水槽を購入、魚を飼育した。魚を学べる大学があると知り、長崎大学水産学部に進む。

 在学中、シイラ漁の船で働き始め、漁師の世界にハマり込む。その一方で、漁業の現場に接し、高齢化や後継者不足に悩む漁師や、魚の育つ環境が悪くなっている状況を目の当たりにした。

 「卒業後も漁師として働くつもりで船長に相談すると、『せっかく大学を出たのだから、役人になって中央にオレたち漁師の気持ちを伝えてほしい』と勧められました」

 そこで国家公務員試験に挑戦し、27歳で水産庁に入庁。漁業紛争調査や資源管理、マグロ漁場開発などに取り組んだ。

 鳥取・境港に資源管理担当として赴任したとき、底をつきそうなベニズワイガニの漁獲量をどう回復するかを漁業者と話し合った。生活がかかっているので漁獲制限の話は簡単には進まない。

 「漁業者に耐え忍んでもらうのが資源管理。それを支えるには、消費の受け皿が必要だと思いました」

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