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【安達純子 血圧を下げる新常識】製薬業界揺るがした「ディオバン事件」に学ぶ治療薬の基準 薬の付加価値を過大評価 (1/2ページ)

 血圧降下剤をめぐり製薬業界を揺るがした「ディオバン事件」の判決公判が、16日開かれた。

 2014年、「血圧降下作用が従来の薬と同じでも、ディオバン錠を飲めば、心筋梗塞や脳卒中などの危険性がさらに減る」といった論文が、捏造(ねつぞう)であったことが発覚。厚労省が医薬品医療機器法違反で、製薬会社とその元社員を刑事告発した事件だ。

 ディオバンは、アンジオテンシンという血管収縮物質の効果をブロックして血管を拡げ、血圧を下げるという触れ込みで、2000年に登場した高血圧治療薬・ARBの一種。単純に血圧を下げるだけの従来の高血圧治療薬よりも優れた点を強調すべく、血圧を下げる以上に、心臓病や脳卒中予防効果があるという付加価値を宣伝した論文捏造が疑われたのだ。

 この事件から見えてくるのは、薬の付加価値、つまりオマケを過大評価してはならないという点である。

 「心臓病や脳卒中予防には、血圧を下げることがもっとも重要です。血圧を下げる以外に心血管病予防効果があるといった薬の付加価値は、そもそも疑うべきといえます」

 こう話すのは、NPO法人臨床研究適正評価教育機構理事長の桑島巌医師。桑島氏はディオバン事件の論文が発表された当初から、付加価値に対するデータに疑問の声を挙げていた。厚労省調査委員会のディオバン事件の委員としても事件解明に取り組み、著書『赤い罠 ディオバン臨床研究不正事件』(日本医事新報社)に詳しい。

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