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【ぴいぷる】卓越した技術の土壁は芸術作品 優しい美しさ…風景塗る左官・挟土秀平さん「『いつまでも見ていられる』大切に」 (1/3ページ)

 「土のソムリエ」と称される。その卓越した技術と高い美意識から生み出される土壁はもはや芸術作品であり、ため息が出るほど美しい。

 東京タワーのすぐ下に建つバーにある作品も、多くの人を魅了してやまない1つだろう。放送作家の小山薫堂氏がオーナーを務め、近くに桜の木がある店の壁面には「東京タワーをすり抜け、かすかなオレンジ色に変わった風が桜の花びらを散らしてバーに入ってくる」という“物語”を宿した。

 「基本的に俺は風景を描きたい。壁はそこにずっと存在し、空間の空気感を作っているものだから、自然や風景のように『いつまでも見ていられる』『長い時間が漂っている』ということを大切にしたい。これを表現できることが最高級だと思っている」

 こだわってきた土壁も独特の美意識に貫かれている。

 「例えば、土を塗り、そこにシャーと水をかけたら、土壁が流れるでしょ。ここっていうところで止めたらそれは美じゃない? どれだけ設定をして手をふれないか。その現象を狙う」

 岐阜県高山市の左官業を営む家の長男として生まれ、左官になるのはいわば必然だった。

 高校卒業後は熊本県内の会社などで腕を磨き、父親が営む会社に入社。だが、会社の人間からはあらゆる場面で辛く当たられた。

 「(跡継ぎの)息子が戻ってきて、ちょっといじめてやろうかということだよね。大きな案件を任せられても、会社の中からは十分な職人を出してもらえないなんてこともあった。だけど、どんなにいじめられても『ごめんなさい』とは絶対に言わず、仕事をやり遂げてきた」

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